越前体験ツアー


何かの抽選で当たるという経験は滅多にない。当たったためしがないのである。
だから、抽選に当たることを期待してわざわざ葉書を出すようなことはしない。
ところが、クリーニング店でもらったクーポン券を使ったらそれが景品になっていて、
「旅行賞特選日帰りバス旅行にご当選されましたので無料でご招待させていただきます」
という葉書が届いた。和紙すき体験・ちくわ作り体験に興味がわいて出かけることにした。

「ご招待ご本人様以外にも同伴者は9800円で参加できます」とあり、
ははーん、同伴者の旅行代金で儲けるのだなと理解したが、
去年の「隠れた紅葉の名所」と今年の「吉野千本桜」のバスツアーの経験から、
2人で9800円と考えれば安いとソロバンをはじいて(^^;)夫も誘った。


先ずは、トイレ休憩も兼ねて、滋賀県の信楽陶苑たぬき村に立ち寄った。
「たぬき村」の前のたぬきの数に驚いてはいけない。
「たぬき村」の鳥居をくぐれば、店の中には膨大な数の狸たち1万匹が!


日本一だとかの大狸。右端の忍者も小さく見える。

越前の玄関口にある福井県敦賀市の「やべ清」で日本海の幸の昼食。
「越前そばの里」では、越前そばを試食したり買い物したり。
越前そばは、大根おろしを乗せ濃い目のつゆをぶっかけて食するのが特徴だ。


さて、いよいよ楽しみにしていた、1500年も前から伝わる技術と経験により、
表面が均一で滑らか、薄くて丈夫な越前和紙の紙漉きの体験だが、
実は、体験に一生懸命になり、写真を撮るのを忘れたことに気付き、
終わって皆が部屋を出てしまった後で写真を撮った。
この日は色紙用の和紙を漉いた。


写真を撮るのを忘れた!と情けない声で言っていたら、
優しい係りの人が「やりましょう」と言って下さり、
写真を撮れるよう、もう一度実演して見せて下さった。


これは紙を漉いた後で模様を入れるための乾燥させた植物のいろいろ。


その上から好きな色の色水を振りかける。
最後に好みで金粉を振りまく。


乾燥は、時間がかかるので係りの人がやって下さる。
我々はバスへ戻り、その間に乾燥させて「越前和紙、私の漉いた紙」と書かれた
和紙の入れ物に入った自分の作品が動き出したバスの中で配られた。


そこで、これが家に帰ってから撮った我々の作品。
どちらが夫の作品でどちらが私の作品でしょうか?


次の「ちくわ作り体験」では、今度はちゃんと写真を撮ろうと、
エプロンと帽子を着け、手洗いして、準備している段階から撮った。
福井県・敦賀インターに近い「小牧かまぼこ」は、宮内庁御用達だとか。


先ずは、指導者が棒に魚のすり身を巻く方法をやって見せて下さった。
魚のすり身は包丁で丁寧に少しずつ平らに伸ばす。


伸ばしたすり身の端っこを切り取って長方形に形作る。
切り取った端っこは伸ばしたすり身の薄い箇所へ貼り付ける。


均等に伸ばせたら、すり身の端へ棒を置いて、
包丁ですり身の下部分を削ぎ取りながら棒へ巻き付ける。


包丁をうまく使いながら、少しずつ丁寧に棒に巻き付けていく。
指導者のやり方を見ているといとも簡単に出来そうだ。


手に水をつけてすり身の両端をつまんで棒に塗りつけて形を整える。

見るのと実際にやるのは大違いで、棒にすり身を巻き付ける作業は難しかった。
巻き終わってみると、包丁の使い方が下手で板にはたくさんのすり身が残っていた。
残っていたすり身を包丁でそぎ取って、水で濡らした手で塗り付けた。
形が悪いのも水で濡らした手で撫でながら滑らかに形作っていった。

器用な夫はさすがにきれいに形作っていたが、不器用な私のは形が悪く、
指導者の手伝いを頼み、きれいに形作ってもらった。

この苦労した時間は、またまた一生懸命になり、写真を撮るのを忘れた。
みんなの苦労している様子を撮っておけばかなりおもしろかったのだが、残念だ。


汗をかきながら仕上げて、ふと我に返って周囲を見渡した。
客観的に見て私よりもっとひどい状態の人を指導者は手助けしていた。
カメラカメラと気がついて撮ったのはもうきれいに仕上がる直前だが、
指導者が手助けしているすり身にこの人は指に付いたすり身を擦り付けていた。
板の上にもあちこちにいくつもすり身が落ちていた。


すり身を棒につけて焼き上げると、こんがり良い香りが立ち込めてくる。
よく見ると、太いのあり細いのあり、長いのあり短いのあり、
滑らかなのあり、でこぼこのあり・・と、個性豊かなちくわがずらり。

これも、焼き上げるのは係りの人がやって下さって、
動き出したバスの中で、熱々の作品が配られた。


本当はバスの中で焼きたてのちくわを食べたかったが、
日本海の幸の昼食、越前そばの試食、お土産を買った店での試食、
などなどでお腹がいっぱいで、家に帰ってから食べた。
ちくわは切らないで棒のままでかぶりついて食べた。
口をつけてから、しまった、写真を撮るのを忘れた!

実はこれは、夫の作品で、かじったのが分らないよう、
かじった部分を向こう側にして下に向けて分らないように撮った。
かじったちくわだとは分らないでしょう?

私の作品はどうなったか、って?

私のは写真に撮るにはとても隠しおおせない程にかじってしまっていた…。



戻る   目次へ