山陰海岸ジオパーク(1)


「ジオパーク」とは、大地や地球を指す「ジオ(geo)」と公園「パーク(park)」という意味で、
ユネスコの支援により設立された世界ジオパークネットワークにより世界各国で推進されている。
山陰海岸ジオパークは、京都府・京丹後市、兵庫県・豊岡市、鳥取県・鳥取市の3府県3市と、
さらに、兵庫県・香美町と新温泉町、鳥取県・岩美町、の3町をエリアとしている。
ここでは、日本海の形成から現在に至る地質や地形を見ることができる。

京都から車で行ったので、先ずは、与謝郡伊根町の舟屋を見に寄った。
山陰海岸ジオパークには入っていないが、以前から見たいと思っていた所だ。


舟屋は伊根湾の海面すれすれに建築されている。
1階は生活用具のほとんどが収納された物置場であり、
漁具の手入れや出漁準備をする作業場でもあるようだ。
また、干物など魚を乾かしたりする加工場でもあるとか。
2階は居室になっていて、民宿をしている家も多いようだ。


1階は生活の糧である船を長持ちさせるための収納庫であり、
収納庫からそのまま船を出し入れできるようになっていて、
家の中で出漁の準備をして家の中から出漁するというのは、
何とも良く考えられた生活形態だと感心する。

さて、伊根を通って、経ヶ崎を経て、丹後半島をぐるっと一周して、
今回の旅行の目的である山陰海岸に沿ってひたすら車を走らせた。


リアス式の海岸で奇岩が陸続きで連なり、小さな島々が点在する風景が
日本三景の一つ「松島」と似ていることから名付けられた「丹後松島」。


これも京丹後市丹後町で見ることができる「屏風岩」。
屏風のようにそびえる奇岩で高さ13mもあるとか。


京丹後市の後ヶ浜にある立岩。
周辺では柱状の割れ目を持つ巨大な黒い岩石が多く見られ、
この立岩は、高さ約20m、周囲約1kmの岩の塊である。
この立岩に見られる柱状の割れ目は「柱状節理」と呼ばれ、
地層中に入ったマグマが冷えて固まる際に出来たものだとか。


浜から近付いてみると、柱状節理が良く分かるが、
立岩のあの独特の形もまるで別の岩のように見える。

(上)左側を向いて撮った写真(逆光)と、(下)右側を向いて撮った写真。
同じカメラでほとんど同時刻に撮った写真だが、こんなに様子が違う。
補正も何もしていないのに空の色も砂の色も別物に撮れてしまった。

琴引浜。 歩くとキュッキュッと音がする鳴き砂の浜。
最初は歩いても全然音がしなくてがっかりしていたのだが、
一度キュッと音がして、それからはどう歩けば鳴るかをいろいろ試した。
つま先でも踵でも少し力を入れて、すり足で歩くと鳴くことが分った。
キュッキュッ、キュッキュッと、何度も砂を鳴かしては楽しんだ。
が、どの場所でも鳴く訳ではなくて、また、濡れた砂は鳴かない。


兵庫県・豊岡市にある「玄武洞」。
160万年前の噴火で流れ出た溶岩が冷え固まる際に、
規則正しい割れ目を作り出し、柱状に節理が形成され、
六角形の玄武岩が積み重なった柱状節理は見事である。


「青龍洞」。
規則正しい割れ目を節理と言い、柱のようになったのが柱状節理。
玄武洞公園の洞窟の中でも特に美しい柱状節理を見せている。


「白虎洞」。
水平方向に伸びた柱状節理の断面を見ることができる。
「節理は、一般的には垂直方向に伸びて造られていくものだが、
周辺の地形は傾斜していて、そこへ溶岩が流れ込んで冷え固まったか、
まだ十分固まっていない時期に横方向への変動があったために、
このような横の節理が生じたと考えられる」との説明であった。


「南朱雀洞」。
ここは流れ出た溶岩の先端部だとか。
節理が見られず、表面がごつごつしている。
溶岩の表面が急に冷やされて固まっても、
まだ内部は熱く後から溶けた溶岩が押し出してくる。
そのため表面が破壊されて塊状の岩石の集まりになる。


「北朱雀洞」。
「朱雀が羽を広げたような景観」と説明にあるが、よく分からない。
4つの洞の名前は、天の四方を守る4つの神の名前から付けられたもので、
北の玄武、東の青龍、西の白虎、南の朱雀の名前を取ったということで納得。

さて、兵庫県・香美町の香住海岸で乗った遊覧船から見た光景と、
兵庫県・新温泉町の浜坂港から乗った遊覧船から見た光景など、
陸からは見られない断崖絶壁や洞門洞窟などの写真は次ページで。
次ページを楽しみに、もう少し陸地からの話題を続けよう。


兵庫県・新温泉町にある夢千代日記で有名な湯村温泉。
天然かけ流しの足湯に足を浸して疲れを癒す。

日本海形成にかかわる火山活動による温泉で、
荒湯は98度の熱泉で、ゆで卵などもできる。


旧町名も「温泉町」で、字名が「湯」で、温泉への依存度は強いとか。
「温泉病院」という名前の病院もあるそうだが、写真は撮れなかった。
「何でも温泉」の話題に、「温泉小学校」と「湯交番」の写真は撮った。


最後は、やはり夢千代日記の「夢」でしょうか。
夜になると、山中に「夢」の字が浮かび上がった。
さぁ、良い夢を見ましょう。


山陰海岸ジオパーク(2)へ続く



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