熊野古道・大門坂


==大門坂を通って熊野那智大社まで==

約1km、約40分という大門坂は、距離は短いが道はすべて上り坂で、
大門坂を越えた後も熊野那智大社までは長い石段を登らねばならない。
この日は雨も降らず曇り空で、行きも帰りも同じ道を二度歩いたが、
同じ道でも、上りながら見る光景と下りながら見る光景では
違った印象を持つことが新鮮で楽しかった。


大門坂の入り口では樹齢800年の2本の杉の大木が迎えてくれる。
「夫婦杉」と名づけられたこの巨木が門のようになっていて、
ここから熊野那智大社までの美しい大門坂の道が始まる。
ただし、大門坂の名前は、この道は熊野那智大社の旧表参道で、
杉木立が尽きる所に那智山の大門があったことから名づけられたとか。


鎌倉時代に積まれたと言われる苔むした石畳の道が続く。
熊野古道のパンフレットに使われている場所はここだと分かった。
とりわけ美しい感じで、足をとめてしまった。


熊野古道の中でも一番美しいと言われる大門坂は、
古道の両側に立ち並ぶ樹齢400年から500年の杉木立の間から、
ときおり差し込むほのかな日の光が疲れを癒してくれた。
これは、下りでの写真だが、特別にここへ入れてみたい。





木立の間からはるか向こうに那智の滝を見ることができた。
まだあそこまでは遠いなぁと思うところだが、
ここまででも麓からはかなり歩いてきたので、
滝が見えたことでもう少しだとの思いの方が強かった。


熊野那智大社。



大門坂にも樹齢800年の楠の大木があったが、
熊野那智大社の境内にも樹齢800年の楠があり、
この楠には病気平癒の霊力があるというので、
胎内くぐりといって、幹の大きな空洞に入れる。


那智山青岸渡寺の三重塔と那智の滝は絵になる。


原生林からの落差133mの那智の滝は遠く太平洋からも眺められるそうだ。
熊野那智大社からさらに歩いて那智の滝まで近づく。
少しのお金を出せばもっと上にまで歩けるようになっていて、
その位置からは滝の水しぶきがかかって、迫力に拍車がかかった。



さて、この4枚の写真は下りで撮ったものだが、
上りでの4枚の写真と違いが分かるでしょうか。
実際に登った者には、上りはハァハァという息づかいが聞こえ、
下りはスタコラサッサと軽い足音が聞こえます。


最後は、八咫烏(やたがらす)で終わりましょう。
3本の足を持つ珍しいカラス。
巷ではカラスは嫌われ者だが、熊野では神の使いの鳥。
その昔、神武天皇が九州日向の国よりこの地に上陸して、
三本足の鳥に案内されて奈良へ行き大和の国を建設したと言われている。
熊野三山ではあちこちでこの八咫烏の像を見ることができた。
巷で嫌われ者のカラスも、もう1本足を足して3本足になれば、
珍しがられて人間社会の人気者になるだろうに…。


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