「蔵」で味わう鱧料理



家の近くに古い民家がある。
江戸末期のかや葺き民家だそうだ。
滋賀県から解体して持って来て組み立てたとか。


階段タンス(階段の下を収納に利用したタンス)を上がると、
屋根裏部屋には昔は蚕部屋だった空間が広がっている。


外から見ると、このようになっている。
家の中は自由に上まで上がって見せてもらえる。


ここでは季節の懐石膳とお酒を用意してもらえる。
しかも、一日、1組から3組までしか予約を取らない。
言ってみれば、隠れ家的な店という感じだろうか。

5月に行った時は、平日で客は我々2人だけだったので、
ご亭主とゆっくりいろいろ親しく話ができて楽しかった。
5月は、伊勢えびや筍料理などをご馳走になった。

7月は鱧料理で鱧(ハモ)の骨切りを見せてもらえるというので、
孫が喜ぶだろうと息子一家も誘い家族5人で行った。
やはり客は我々の5人だけしか予約を受けなかったようだ。
家でくつろいでいる雰囲気でおいしい食事を楽しむことができる。

予約の段階で嫌いな物やアレルギーがあるか等も聞いて下さり、
もしある場合はそれらの食物を除いた献立を考えて下さる。
大きな厚いまな板に包丁が用意されている。


シャッ、シャッ、シャッ、シャッとリズミカルな音を奏でながら、
皮を切らないように骨だけを切っていく職人技を見せてもらった。


適当な大きさに切り、お湯に入れるとパッと花が開いたようになる。
それをすぐに氷水の中に入れて、鱧の湯引きの出来上がり。
スーパーで買う鱧の湯引きとは全く味が違うおいしさだ。
あの味を覚えている今後しばらくはスーパーの鱧の湯引きを買えない。


2匹目の鱧は軽く火であぶってタタキにして出して下さった。
鱧を半生で食べたのは初めてで、これが又絶品のおいしさだった。

鱧の湯引き、鱧のたたきの他に鱧寿司や鱧の吸い物など、
大人4人で3匹の鱧を使って下さったそうだ。


隣の部屋の囲炉裏を囲んでくつろいで下さいと言われ、
息子一家も一緒ということで若者向きの焼肉も用意されていた。

ところで、料理の写真は例によって撮り忘れた。
目の前で調理して盛り付けて出して下さったり、
奥の台所から用意して持って来て下さると、
先ずお話を聞いて眺めるので撮り忘れてしまう。
撮り忘れて一番残念だったのは、鮎の塩焼きが出てきた時。
大きな鉢のような皿に人数分の鮎が盛り付けられていた。

鮎は天然の少し小振りの鮎でしっかり焼かれているので、
頭も骨も全部丸ごと食べられて、しかも、おいしかった。

そういえば、5月にはあの皿に伊勢えびが乗っていたような。
「冬には焼カニを出します」と言われていたので、
多分、あの皿にカニを焼いたのを乗せるのだろう。
いや、カニはあの囲炉裏で焼いて食べるのかな?
では、あの皿には茹でたカニが乗ってくるかな?
次に行った時には忘れないで鉢のような皿を撮ろう。
そのためにはもう一度行かなければ!


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