モンゴル体験



モンゴルの遊牧民の住むゲル。
ゲルとは、モンゴル語で「家」を意味し、遊牧民の住む家のことである。
ゲルは、木とフェルトで出来た、分解・組み立てが簡単な移動式住居である。 移動の際には、3〜4人で1時間程で出来てしまうそうだ。
柳の木などをドーム状に組み上げ、その上に羊の毛で出来たフェルトをかぶせた テントのようなものである。
屋根の中心には円形の木枠で出来たトーノと呼ばれる天窓もあり明るい。



古来から遊牧を営みながら、自然と共存しながら生きてきたモンゴルの人々の 伝統的な生活用式は今でも続いていて、あちこちでこのようなゲルを 見ることができた。
馬や羊がのどかに草を食べていて、どこまでも果てしなく続く草原を 男たちが馬に乗って駆けていく風景が草原のあちこちで見られる。



モンゴル人の知人が、近くの遊牧民のゲルへ行って頼んでくれて、 遊牧民のゲルの中を見せてもらった。
きれいにこじんまりと整理されており、必要な生活用品はそろっていた。
2つ置かれていた金属製の簡易ベッドでお父さんとお母さんが眠り、 子供は床に敷いたじゅうたんの上で寝るそうだ。
モンゴルでは、誰でも訪ねて来る人は厚くもてなす習慣があるそうで、 「馬乳酒」とチーズとバターなどを振る舞って下さった。
毎日採れる乳はすぐ保存のきくチーズやバターなどの乳製品に加工するので、 乳をいつも沸騰、発酵させているとかで、訪ねたゲルでもストーブにかけた 大きな鍋でクツクツと煮ているところであった。
馬乳酒というのは、色は白くて軽い酸味があり、アルコール分も2〜3%ある。


おもしろかったのは、乳を搾る時は、この写真のように、子馬を母馬のところへ 連れて行き、乳首をしゃぶらせて母性本能を刺激して乳が出るとすぐに子馬の口を離して(つまり、子馬はほんのちょっと飲ませてもらうだけでやめさせられる!)、 そのくせ、子馬が飲んでいるように思わせるためかしっかりと側にくっつけて スキンシップさせながら乳を搾っていた。



モンゴル人の知人が、馬で駆けてきた2人の子供に頼んでくれて、 しばらくの間、馬に乗せてもらった。
モンゴルの馬は、少し小さいのが特徴で、馬上もそんなに高くなかった。
モンゴルでは、子供は小さい頃から馬に慣れ親しんで乗り慣れているので、 見ていても気持ちよく実に上手く乗りこなしている。



これは、ツーリスト用のゲル。ここに1泊する。
大きさや作り方は、遊牧民のゲルと同じである。
これはツーリスト用のゲルなので、ドアには鍵も付けられていたので、 トイレや洗面に外の施設へ行かなければいけない不便を除けば、 朝は、鳥の鳴き声や馬のいななきで目が覚めるという草原の自然を満喫できる。



中は、真ん中に鉄製のストーブがあり、木の薪をくべて暖をとる。 (遊牧民のゲルでは、燃料は、家畜の糞を使うそうだ。)
丸いゲルの壁に沿って木製のベッドが4つ置かれていた。民族画の描かれた 小さな可愛いアブダルと呼ばれる衣装箱とテーブルと椅子なども置かれていた。
ここで、持ち込んだモンゴルの酒アルヒ(モンゴルウォッカ)と、遊牧民の ゲルを訪ねた際に振る舞われてもらってきたアイラック(馬乳酒)で盛り上がる。
ここは、ツーリスト用のゲルなので、電気が来ていたが、草原の遊牧民のゲル ではローソクを灯している。



『モンゴル相撲』
力士は、取り組み前に鳥が舞い下りるしぐさをする。羽ばたきをしながら 周りを回る。
これは、鳥の王である鳳凰の姿を表現したもので、気を高めたり 相手を威圧したりするものだそうである。
勝敗がつくと、敗者はチョッキの腹の紐を解いて、勝者の右脇の下を右回りに くぐり敗北を認める。
勝者は、帽子をかぶり国旗の周りを右回りに回って戻る。




『ホーミー』
独特の発声法で、一人で一度に2つの音を出して歌う歌い方。
低い声でメロディを歌い、頭の上から笛みたいな伴奏が聞こえてくるが、 楽器を使っているのではなく、喉を思いっきり開いて、舌や唇、頭蓋骨、 歯、肋骨などを調節して響かせるそうだ。

『モリン・ホール(馬頭琴)』
最もモンゴルで普及している民族楽器。
一番上に馬の頭の形が付いていて、やや長い2本の弦を弓で擦って演奏する。
その音色は、草原の風のような深い響きや、まるで馬のいななきのような響きがする。



「食」の体験では、“羊半頭分”が強烈だった。
お皿には、骨付きの肉と一緒に何故か直径10cm〜15cm大の黒い石が 乗っかっていた。
熱くて触われないのを、熱いから両手で交互にお手玉のように持っていると、 そのうち触われるようになる。これで、お腹の調子を良くするそうだ。
さて、羊の肉は、臭みも無くて非常においしかった。
が、何しろ大変な量が出ているので、もうお腹が一杯だと言うと、 モンゴル人の人が「何を言っているか、来てみなさい。」と言って、 お鍋のところへ連れて行かれた。大きな鍋の中には、黒い石と一緒に 炊かれた骨付きの肉がまだ一杯入っていて羊の半頭分だと言う。
予約を入れて下さった6人の予定が急きょ5人に減ったとはいえ、 これはとても食べきれる量ではない。
残った分は我々に終日付き合ってくれている車の運転手にあげることで解決。

その他では、モンゴルの旧正月など改まった時の料理だと言われる“ボーズ” が珍しかった。
これは、肉を細かく刻み、小麦粉の皮で巾着状に包んで蒸したもの。
肉が少し硬かったが、興味深い食べ物だった。おいしかった。
ただ、量が多くて全部は食べきれなかった。


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