尾瀬・鳩待峠から山の鼻へ

♪夏がくれば 思い出す はるかな尾瀬 遠い空♪

ハイ、思い出して行ってきました。


雪を抱いた至仏山を背景に、水芭蕉の群生。
これは、次ページで入れる尾瀬ヶ原での一こまだが、
こんな姿を見ることができたことを期待していただいて、
先ずは、尾瀬での3日間を、順を追って進めよう。

友人夫妻と一緒に4人でリュックを背負い登山靴を履いて出かけた。
尾瀬の山小屋で2泊するため、早くから計画を立て友人が予約した。
水芭蕉の見頃は、過去の見頃情報を見て予想を立てたが、
天候のことは、運を天に任せるしかない。
日帰りで行くなら天気の良い日を選んで行けるのだが。
長期天気予報を見ていて、1週間前までは雨だったのだが、
晴れに変わって、晴れ男晴れ女であることに自信を持った。(^^;)

幸い、3日間とも晴れの予報だったが、山の天気は分らないので、
上下セパレーツの雨合羽と傘、薄手のダウンジャケットも持った。
尾瀬では3日の内1日晴れればラッキー!とのことだったが、
珍しく雨は一滴も降らず、雨合羽も傘も結局は使わずじまい。

日本中が5月にしては記録的な異常な暑さが続いていた流れで、
尾瀬でも、晴れた昼間は暑くて半袖でも良かった位だが、
1日の寒暖の差が激しく、星を見るために夜に外へ出た時は、
薄手のダウンジャケットを羽織って出て、丁度良かった。

前置きが長くなったが、さて、尾瀬紀行の始まり始まり〜。


大阪と京都から、東海道新幹線、上越新幹線、JR上越線、バス
などを乗り継いでやっと着いた所が、標高1591mの鳩待峠。
いよいよここから歩き始める。山の鼻までは下りなので楽ちんだ。
すれ違う帰りの登りの人達はしんどそうで、帰りが思いやられるが、
鳩待峠から山の鼻まで高度差は約200m、距離にして3km程だ。
山の鼻までは、湿原ではなくブナを中心とした森を歩くことになる。

この日は日曜日で、この日に帰る人達が多いのか、多くの人とすれ違った。
聞くところによると、関東地方からは日帰りで行く人達も多いそうだし、
団体ツアーの人達はバスに荷物を置いているのか軽いリュック姿だ。
すれ違う人達を見て、どれだけ大勢の人で混雑しているかと懸念されたが、
山小屋に泊まっての尾瀬ヶ原散策で、大勢の人とは時間がずれたからか、
我々が翌日に歩いた尾瀬ヶ原は人も少なくて、存分に楽しむことができた。


森の中は山道を歩くが、このように木が敷かれている木道も多くて歩き易い。
出かける3日前の尾瀬の様子をネットで見た時には雪に埋もれている木道もあり、
雪道ではどうなることかと心配したが、3日間続いた異常な暑さで融けたようだ。
が、人が歩く木道の雪は融けたが両側にはまだ雪が残っていた場所もあった。


尾瀬ヶ原は湿原なので、このような山の風景をここで入れておこう。
川を流れる水の音や白樺の木に癒されながら風景を楽しんでいると、
足元の花を見逃してしまうから、足元にも注意しながら歩く。
行きの下りでは見なかった花を帰りの上りで見つけた花がある。
それらは、帰りの「山の鼻から鳩待峠へ」で入れることにする。


これは「ミヤマキスミレ」かと思うが「オオバキスミレ」かも?
ミヤマキスミレは、3枚の茎葉がほぼ輪生するのに対し、
オオバキスミレは、1番下の葉が離れてつくそうだが、
実際は中間型もあり、区別は困難、と説明にある。

コミヤマカタバミ
エンレイソウ


おぉ、水芭蕉だ! これが記念すべき初撮りの尾瀬の水芭蕉。


水芭蕉が生えているということは、山の鼻が近づいたということだ。
感動して感激して写真を撮ったが、翌日もどれだけの水芭蕉を見たことか。


まだこれから開くという晩生の集団もあった。


泊まった「尾瀬ロッジ」は国民宿舎で、白樺の木に囲まれていた。
夕食は5時から6時の間、お風呂は7時まで、消灯は8時半、
朝食は6時から、と、何とも早い時間設定で決められていた。
なお、尾瀬では環境を考えて、石鹸やシャンプーを使ってはいけない。
山小屋によっては風呂がない所もあり、お風呂に入れるだけ良いとか。
勿論のこと部屋にテレビもなく夜は何もすることがないので早くに寝た。

尾瀬では携帯電話が通じず、ビジターセンターなどにある公衆電話は
衛星公衆電話なので通常の公衆電話よりも通話料が高額だそうだ。
友人が所要で電話をかけたら100円玉がどんどん落ちていったとか。


夕食後まだ明るかったので、植物研究見本園へ散策に出てみた。
今まさに沈もうとしている太陽が遠くの山を照らしていたが、
暮れようとしている中では白樺と水芭蕉の白さだけが目立っていた。

季節毎に咲く尾瀬の湿原植物のほとんどが集められているそうだが、
季節の違う花はもちろん咲いていないので、見つけられない。
次の日に一日かけて歩く尾瀬ヶ原で見る植物を予習した感じだ。

チシマウスバスミレ? ニョイスミレ?

チシマウスバスミレは、1株2株を見つけた人が感激して写真を載せているし、
尾瀬では尾瀬ヶ原の一部と尾瀬沼の一部とオヤマ沢田代付近のみに分布している、
と書かれているのに、これを撮ったのは、植物研究見本園への入り口辺りで、
こんな風に群生していて簡単に見つけられる場所に咲いていたので違うかも?

ヤチヤナギ
ワタスゲ


暮れゆく中でほんのりピンクに染まっているミズバショウも良い。



リュウキンカは、尾瀬ヶ原でもあちこちでたくさん咲いていた。


東京より10度は気温が低いということだったが、
なるほど、6月なのにツクシにフキノトウが出ていた。


「クマと出会わないために、人が通ることを知らせてあげましょう。
鐘を鳴らして下さい。 尾瀬国立公園ツキノワグマ対策協議会」とある。
鳩待峠から山の鼻までの森の中にも、水芭蕉の咲く木道にも、
いくつもの鐘が設置されていて、何度も鳴らした。


こんな大自然の中を歩くのに大勢の人で混雑しているのはいただけないが、
人が少ないのを良いことに、クマ除けに大声で話しながら歩いた。
クマに出没されては、人が少ないのも良し悪しか…。


尾瀬ヶ原の湿原へ続く



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