招かれざる客



(9) 犯人捕まる 〆

ある日、家の前に見知らぬ車が停まった。
犯人が捕まって、犯人の記憶にしたがって空き巣に入ったという家を 刑事さんが車で確認に連れ歩いているということであった。
あちこちで空き巣を働いていて、犯人もどこへ入ったかをいちいち憶えていない のだが、届け出のあった我が家の場合は裁判へ持ち込めるということで 確認作業に訪れたそうだ。
しかし、刑事さんからは「犯人が捕まっても、現金の場合は、 お札に名前でも書いていない限り、あるいはお札の番号を控えてでもいない限り、 先ず戻らないだろうと思って下さい」とも言われた。
 

刑事さんが「犯人の顔を見ますか?」と言って下さったが、「いいです。」と断った。
どんな男か見てみて、恨み言の一つも言ってみたい気持ちはやまやまだが、 犯人の顔を見に車へ行くということはこちらの顔も見られてしまうことになる。
後々のためにも、目を合わすことはさすがにためらわれた。

この訪問の前、ある場所でトイレの窓から入ろうとしていた空き巣が捕まったという 新聞記事を読んでいた。
やはり、この新聞記事に出ていた犯人が我が家に入った空き巣だった。



犯人が捕まってお終いではありません。 もっとおもしろくなります!


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