招かれざる客



(11) 全額戻る ¥¥

しばらく経ったある日、再び現金封筒が届いた。
忘れもしないあの名前の差出人で、見覚えた住所の刑務所からだった。
半信半疑で封を切った。
中には、何と現金で23万円が入っていた!!
刑事さんから「たとえ犯人が捕まっても、現金の場合は先ず戻らないと 思っていて下さい」と言われていたのに、全額戻ってきた!
戻ってきてみると、精神的苦痛に対する慰謝料も上乗せして請求したい欲も出てきたが、約束通り、裁判所へ「お金を返してもらった」と手紙を書いて出した。
この犯人は、当時45歳のその人生の半分以上を刑務所で暮らし、刑務所を出 たり入ったりしていたそうだが、そろそろ観念して落ち着きたいと思った…か?



後日談

【その1】
その後、犯人がどうなったかは知らない。
殺人犯ではないから、適当な日数を刑務所で過ごせば、 いずれ出て来るのだろうとは思っていた。
ある日、今度は門塀の中の勝手口に通じる通路に鍵をかけて置いていた 自転車を盗まれた。
ところが、この自転車は後日すぐ近くで鍵がかかったままの状態で見つかった。
夫が言うには、これは、刑務所から出てきた犯人からの「又来ましたよ!」という メッセージではないか…と。
お礼参りに来られたということか…。クワバラ、クワバラ…。

【その2】
私が刑事さんから聞いた「全部を盗らないで一部を抜き盗ったりもするので、 空き巣に入られた人の中には盗られたことを全く気が付いていない人も多い」 という話をしたら、心配になって預金通帳を調べてみた友人が居た。
すると、な、なんと、郵便局の通帳が1冊だけ失くなっていたそうだ。

皆さんのところでは大丈夫でしょうか??



空き巣さん達へ。
もう来ないでね。
何もおもてなしできませんので…。
来てもらっても金目の物は何もありません。
もう空き巣なんかしないで、地道に働きましょう!
この出来事は前に住んでいた家でのことで、今の家には入れません。


おしまい    前へ戻る


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