風呂・給湯・床暖房など全部一つで動いているボイラーを新しく換えた。 点検に来た人が言うには、 「ほら、点火した時にボッ!と大きな音がしているでしょう?」 「ほら、臭い匂いがするでしょう? 不完全燃焼してますよ。」 「ほら、中を見て下さい、機械が劣化しているでしょう?」 こちらを納得させるその説得力のうまさに感心して、 そろそろ寿命かなと思っていたので、新しくすることにした。 以前から風呂は全自動のジェットバスで浴槽を換えた訳ではないので、 風呂は大した変化はないが、リモコンが変わっておもしろい。 以前も沸き上がると音で知らせてくれてはいた。 が、新しいのは、メロディーと言葉で知らせてくれる。 先ず、お風呂を沸かすには、「風呂自動」ボタンを押す。 すると、優しそうな女性の声で「お湯はりをします」と言う。 思わず、「ハイ、お願いしますよ」と言ってしまう。 終わると、メロディー音の後、「お風呂が沸きました」と言う。 思わず、「ごくろうさま」と言ってしまう。 その他にも、お湯の温度や湯量の設定を変えると、 「給湯温度が変更されました」「風呂湯量が変更されました」 と、こちらが誤って押したのではないかとその度に確認してくれる。 お手伝いさんを使っているようで、すこぶる気分が良い。 しかし、機械相手では気分が良いとは限らない。 8年前から使っている洗濯機はまだ一度も故障したことがない。 この洗濯機には私はよく怒られる。 洗濯途中でプープープープーとうるさく呼ぶので行ってみると、 「ふた」という文字が真っ赤に光っている。 「ふたを閉めろ!」と怒っているのだ。 ふたを閉め忘れたままで全自動のボタンを押してしまうからだ。 ついでながら、この洗濯機の名前は「やさしい愛妻号」。 『ちょっと変ったものコレクション』の「愛が悪に変わった日」に書いているが、 言葉で知らせてくれるようになると、優しく言ってほしいものだ。 IT社会の現代ではコミュニケーションの手段が多様になった。 確かにコミュニケーションの基本は「顔を見て話す」ことだが、 顔を見て話すことが苦手な人も立派にコミュニケーションできるようになった とも思う、と、「婦人之友」2月号の「読者の手紙」に書いた。 機械ともコミュニケーションできると書き加えなければならないか? |