円福寺の大根干し


     

京都府八幡市の円福寺に変わった木があります。
いえいえ、木そのものは別段変わってはおりません。
どこにでもあるイチョウの木であります。
この時期、イチョウの木は葉っぱを落としています。
ところがです、このイチョウの木は何やら身にまとっていますねぇ。



近づいてよく見ると、あれぇーっ、大根ではありませんか!
相当の古木のようですから、この寒空に防寒衣の代わりでしょうか。
それにしても、どうして大根なんでしょうかねぇ?

実はこれ、漬物用の大根を干しているんだそうです。
修行僧たちが市内や近隣の町を托鉢して今年は約3000本が集まったとか。
若い雲水たちが木に登り、大根を吊り下げていくそうですが、
風が吹くと揺れますから、かなりスリリングなようで、
なるほど、これも修行の一つなんでしょうかね。
住職にお会いしたので、雨の時はどうするのか?と尋ねました。
雨の時も干したままだが、雨が上がればすぐ乾くから大丈夫だとか。
ひときわ高い所に干してある大根を見上げて感嘆して言ったら、
あれは、サルを飼っていてサルに登らせて吊り下げさせたと、
冗談の好きな住職さんでした。

漬け込まれた大根は、修行中に食べる漬物用の他にも、
春と秋に行われる「万人講」で振舞われるそうです。
クリスマスの時期に、何とも風変わりな大根ツリーではあります。

なお、この円福寺は京都府と大阪府の境の洞(ほら)ケ峠にある。
日和見するという意味の「洞ケ峠を決め込む」というのはここからきている。
秀吉との山崎の合戦で、明智光秀に助勢を頼まれた大和郡山の筒井順慶が、
戦況の有利な方に味方しようと観望していた場所として有名。
しかし、実際には、順慶は洞ケ峠まで出かけるどころか、
光秀の誘いを蹴って郡山城に籠城していたそうだ。
にもかかわらず、順慶は日和見主義の代表という汚名を着せられた。
一方、洞ケ峠の方はそのおかげで天下に知れ渡ったという訳である。
円福寺の大根ツリーも「Mizuの部屋」のおかげで世界に知れ渡るでしょうか。


八幡市の円福寺へはこちらをどうぞ。


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