ハトの子育て

我が家の庭のケヤキの木にハトが巣を作った。
植木屋さんには秋に入ってもらうので、夏はケヤキの葉が茂り放題である。
庭からは見えないが、2階のベランダから見える所に巣がある。
実は、何年か前からハトがつがいでやってくるので追い払っていた。
ハトは図体が大きいので、糞害を心配してのことである。
ある年には、巣が出来上がりつつある段階で発見して壊したこともある。
ところが、今年はポルトガルから帰国後雑事に取り紛れて忘れていた。
気が付いた時には、すでに巣は出来上がっていて、しかも卵が1個。
夫は「落とせ」と言うが、卵を見てしまったからには鬼の私もさすがに躊躇。
私に「落とせ」と言う夫も、自分ではそんなこと残酷で出来ないと言う。
結局、卵と巣を落とすことができない気弱な住人のおかげで、
ハトは子育てを続けることができることになった。
それならと、糞害を我慢する代わりに子育てを観察させてもらうことにした。
現在、卵が2個。これ以上増える気配はない。
背景の写真は親が卵を抱いているところ。ちょっとはみ出ていますが…。
8月2日(木) 巣の中に卵1個発見。
思ったより小さい。
8月3日(金) 卵が2個になっている。
いつの間に増えたか?
8月5日(日) やはり卵は2個。
これ以上増えないか。
さて、ヒナがかえるまでには間がありそうなので、
以前のスズメの子育ての話をちょっと。
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実は何年か前には我が家でスズメが巣を作っていた。
坪庭に面した2階のトイレの窓の網戸と格子枠の隙間に巣を作っていた。
民家でスズメが巣を作るのは珍しいそうで、毎日楽しみに観察した。
ある年にはヒナが全員無事に巣立ったが、
ある年には、ヒヨドリ(?)にやられてヒナが全滅した。
それ以後、我が家に巣を作りにはやってこなくなった。
スズメの子育てを観察して、いろいろ感心したことがある。

** 餌をくわえて巣に帰って来る時、すぐに巣には入らないで、
 一度近くの場所で止まって敵に見られていないか確かめてから巣へ入る。
** ヒナが餌をもらった後でお尻をヒョイと上げるとそれは糞をする合図で、
 親鳥はくちばしで糞を受け止め、それを口にくわえて飛び立ち、
 どこか別の場所へ捨てに行く。
 従って、巣の中はきれいだ。

ある日、けたたましい鳥の鳴き声がするので見に行くと、
巣の近くでスズメが懸命にヒヨドリを追い払っていた。
ヒヨドリに見つかったらしい。
しかし、翌日の朝、坪庭にヒナが落ちて死んでいた。
あわてて巣を見に行くと、巣は空っぽだった。
その後も親鳥が餌をくわえて巣へ帰って来る姿が哀れだった。
ところが、何日かして、新たな卵を生んでいた。
最初は5個だった卵が今度は3個だけで少し寂しかったが…。
これには驚いた。
子孫を残すために、ヒナを奪われたらもう一度一からやり直すのだ。
今度は無事に巣立った。
が、翌年からは我が家の巣へは来なくなった。
人間の子が巣立っても空の巣症候群にはならなかった私が、
空っぽの巣を眺めるのは何とも寂しくてたまらなかったものである。
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8月16日(木) あれっ、巣が空っぽだ。
卵はどこへ?
残念ながら、このシリーズを途中で終わらねばなりません。
上の写真の通り、巣にはもう卵がありません。
昨日の夕方までは確かに2個の卵がありました。
いつ見ても毎日親鳥はしっかりと卵を抱いていました。
今朝見た時には卵がなくなっていて、ハトもいませんでした。
巣は空っぽでした。
昨日の夜から今朝の間に、何が起こったのか。
何者かにやられたのか、無精卵だったのか。
そろそろヒナがかえる頃かと楽しみに待っていたのに。
せっかく今年は軒を貸したというのに。
子孫を残すのは大変なんだなあと自然の厳しさを認識したところで終わります。

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