虚空蔵山



虚空蔵山(こくぞうさん)へ登った。
焼き物の里・立杭(たちくい)から登った。
ここから見る虚空蔵山の形はとても富士山には見えないが、
立杭へ行く途中に見えた虚空蔵山は小さめの富士山のようだった。
端正な形の山も別の角度から見ればまるで別物の山のように見える。
住んでいる場所から毎日仰ぎ見る同じ山を、違う形の山として
別の場所から毎日仰ぎ見ている人が居ると考えるとおもしろい。


まずは、紅葉の季節なので、真っ赤なモミジから。
紅葉の写真はクリックすると大きくなります


虚空蔵山の頂上まで登る道は登山道と自然遊歩道がある。
下りる時に自然遊歩道を下りることにして、登山道を登った。
しかし、自然遊歩道を歩く人の方が多いのか、
頂上までの道すがら他の人には出会わなかった。
この登山道はあまり踏みしめられていなくて、
目印に木に巻かれた赤や黄色のテープがなかったら、
どこを登ったらいいのか分からない程に道がなかった。
紅葉から枯れ色へと移る木の葉に映える関西電力の鉄塔。
ここまで登ると、頂上はもうすぐそこ。


あちこちで大きな板状の岩に出くわした。
小さな石も丸まっていなくて尖っているのが多かった。
なかなかに厳しい自然の姿である。


頂上へ着くと、たくさんの人がいて驚いた。
やはり自然遊歩道の方から登ってきた人が多いのだ。
下りる時に知ったことだが、自然遊歩道は整備されていて、
ハイキング道路で、これなら小さな子供にも登れる。
高さも高くはない。 はい、標高は596m。
朽ちた木の年季の入った標識板です。
ところが、ところが、頂上の同じ場所に案内板があった。


それには、標高は592mと書かれていた。
はたして、どちらが正しいのか?
4mの差はどこからくるのか?
頂上に4mの木が立っていたということにしましょうか。(^^;)

     

向かいの山(上山)と立杭の集落。
山の斜面を這うように登っている登り窯がはっきりと見える。


近くで見ると、こういう感じだ。
これは、立杭で現存する最も古い登り窯。
山の勾配を利用して47mにもわたって築かれたもので、
9袋も持つ長い登り窯。

焚き口のある「火床」
  
「袋」と呼ばれる焼成室
  
「蜂の巣」と言われる煙出し

これは別の4袋の登り窯。
先ず、「火床」であぶり(ぬくめ)焚きをする。
各室の両側に設けられている差木穴からも割木を投入する。
上室に焚き進むにつれて火炎と予熱が順次登って行く。
焼成温度は最高1300度にも達するとか。
先端部の「蜂の巣」から真っ赤な炎が吹き出す。
という過程で焼き上がる。


なお、虚空蔵山の自然遊歩道には素敵な道標が目に付いた。
それには焼き物の里らしい陶器製のプレートが架かっていた。


も一つ、立杭には兵庫県一の巨木であるアベマキがある。
木の姿が扇を開いたように見えるため「おうぎの木」とも呼ばれ、
地域の神木として崇められているそうだ。
暮れゆく夕方で色が悪いが、下の赤い鳥居と比べると
アベマキの木の大きさが分かるでしょうか。

山を下りた所で、案内板に次のように書かれていることに気がついた。
「11月15日〜2月15日の間は狩猟解禁期間となりますので入山されると危険です」
なに?
下の方に小さく書かれていたから気がつかなかった。
そういえば「登山道から外れて山の中に入るな」という注意書きは何度も見た。
アカマツ林などもあったので、松茸を勝手に採ってはいけないから、
と、勝手に解釈していたのだが、イノシシ猟だったのか。
群生している木の白い葉を何だろうという好奇心から、
登山道から外れて木の間を分け入って見に行った。
単に太陽の光に光っているだけだったのだが、
危ない危ない、イノシシと間違われて撃たれるところだった。


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