ボンでの4日間


ドイツが西と東に分裂していた頃に西ドイツの首都であったボンだが、
観光的には(Mizu的には)それ程大きな興味を引かれる見ものはない。


左は、ミュンスター広場の南側に建つロマネスク様式のミュンスター寺院。
右は、同じ広場に立つ、左手に五線譜右手にペンを持つベートーベン像。


ベートーベンといえば、ベートーベンが生まれた家がボンにある。
22歳でウィーンに活動の場を移すまでこの家に住んでいたそうだ。
ベートーベン直筆の楽譜やベートーベンが使用した楽器などが、
記念館になっている「ベートーベンハウス」に展示されている。


ベートーベン生誕の地ですから、クラッシックコンサートへ。
建物に入る前の庭ではベートーベンが迎えてくれて、
コンサート終了後はベートーベンが見送ってくれました。


これはおもしろいと感心したのが、上の像を横から撮ったこの写真。
左側に絶妙な凹凸でベートーベンの顔が出来上がっているのが分かるだろうか。

なお、コンサートがあったのはベートーベンホール。
「ベートーベンハウス」に「ベートーベンホール」。
ライン川を行く遊覧船は「ベートーベン号」と何でもベートーベンだった。


ミュンスター寺院の裏側にはボン大学がある。
マルクスやハイネが学んだ大学である。
宮殿のようだと思ったら、かつてはケルン選帝侯の宮殿だったそうだ。


夜はライン川を行く船の上での晩餐会で、
両岸のドイツらしい風景を楽しんだが、
山の頂上にある城の廃墟と中腹にある「竜の城」が見えて、
急遽、翌日この山に登ることに決めた。


前日船から見た「竜の岩山」へは登山電車で上がるが、
麓の町はなかなかに趣きのある町並みだった。


これが、船から見えた頂上の廃墟。
急に雨風が強くなり、カメラのレンズが雨で濡れたらしく、
右側に汚れが写ってしまったが…。


ライン川と対岸の町。眼下の緑の畑はぶどう畑。
ドイツのぶどう栽培の北限に位置するそうだ。


「竜の岩山」とは、中世の叙事詩「ニーベルンゲンの歌」に出てくる英雄ジークフリートが、
ここで竜を退治して返り血を浴びて不死身になった、という伝説からきている。
その「竜の岩山」の中腹にあるのがこの「竜の城」だが、
これは中世の城ではなく、1882年に建てられたものとか。
道理で、中世風であっても新しい感じがしたのはそのせいか。


登山電車はケーニヒスヴィンターという町から上がるが、
所在なげに杖をついて立っていた老人に登山電車乗り場はどこか?と尋ねた。
達者な英語で教えてくれたが、その後続いた話がおもしろかった。
老人が立っていた場所は小さな町の小さなホテルの前だった。
ホテルの外壁には古い新聞記事を入れた額が掛けてあった。
その新聞記事に載っている写真の男性は自分だと言った。
言われてよく見ると、写っている建物の写真も確かに同じだ。
何故新聞に載ったのかはよく分からなかったが、そのホテルの所有者で、
その新聞記事を額に入れて人々が通るホテルの外壁に飾り、
通りかかった外国人の我々に得意げに説明して時間を過ごしている、
のどかな老人の日常を想像して微笑ましかった。

はい、登山電車乗り場を教えてもらったので、お話に付き合いました。

ベルギーへへ続く



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