網走



網走から流氷を見に行くはずだったが、今年は例年より早くに流氷が離れて行って、
すでに流氷を見られないことはインターネットで見て承知していた。
流氷見物の観光砕氷船は4月の第1日曜日まで運行されているからと
かすかな希望を持っていたが、切符を受け取った段階ですでに絶望的だった。
それでも、予定通りに船は出て、氷のない青いオホーツクの海を堪能してきた。
写真は、船から見た能取岬の先端である。


砕氷船「オーロラ号」の乗船前に記念撮影をするようにと、
これは船会社がせめてもの慰めにと置いてくれたものか、
保管されているオホーツク海の本物の流氷だが融けて小さくなっている。


流氷の無い代わりにと律儀なカモメ達が歓迎の舞を見せてくれた。
船が出てまもなくどこからともなくたくさんのカモメが群がってきて、
ずっと船と一緒に船の周りを飛び回っていた。


流氷を見られなかったので、流氷のことを見られる流氷館へ行ってきた。
流氷館から見たパノラマ写真を見ていただいた上で(こちら)、
これは、昭和60年に流氷館がオープンした時の保管されている歴史ある流氷。
マイナス18度のこの部屋では、これらの流氷を実際に触ることもできるし、
濡れタオルを持って振り回すとたちまちにタオルがガチガチに凍る。

流氷館では、流氷の下を泳いでいる冬の海でしか見られない
不思議な生き物である流氷の妖精クリオネも初めて見た。
が、写真撮影は禁止されていて写せなかった。


さて、網走といえばやはりここを訪問しなくては。
行くだけで一生中へは入らないで済むように願いたいものだ。
網走刑務所は、このような豊かな自然の中にあった。
門の中で作業する受刑者が見えることがあるからか、
受刑者を写さないようにとの観光客向けの注意書きがあった。
人は自然に親しむことによって変わると言われているように、
受刑者はこの恵まれた自然の中で反省の日を送り、
社会復帰を目指しているそうだが、果たしてそうだろうか。
新しい刑務所になって、設備などの環境も良くなり、
快適な刑務所になると、入りたい人が増えたり、
厳しい社会へは出たくない人が増えるのではないだろうか。


上の網走刑務所を新しく建て替えた時に古い刑務所を保存するために、
こちらへ持ってきて、「博物館 網走監獄」をオープンした。
ここも、自然豊かなきれいな場所に建っている。


「五翼放射状平屋舎坊」と呼ばれる明治獄舎の名残りをとどめるもので、
昭和59年まで実際に使用されていたものだ。
放射状に5方面に続く雑居坊や独居坊などの棟が、
中央の「見張り」から一度に見渡せるようになっている。
厳しい監獄での暮らしが想像できるような環境で、
やはり、脱獄を試みた人間も数多く居たようで、
小説やテレビドラマになった有名な脱獄犯もここ網走監獄の出身だった。
下の写真の上の方に脱獄犯の人形が今まさに逃げようとしている。

ところで、最近の刑務所の食事のメニューを見て驚いた。
結構、豪華?なのである。
同じように見ていた見知らぬ女性がつぶやいた。
「私のお昼ご飯よりずっと豪華だわ」と。
前夜の残り物でそそくさとお昼を済ましている私も同感だ。

旭山動物園へ続く


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