上賀茂社家町を歩く


上賀茂神社と周辺のことに関係する話題は、以前に2度ばかり載せた。
「深泥池から上賀茂神社へ」(こちら) と「上賀茂のすぐき漬け」(こちら)。
今回は、あえて、社家(しゃけ)町の話題に限って書いてみよう。


上賀茂神社に隣接する東側一帯には、独特の風情が漂う「社家町」が広がっている。
上賀茂神社はたくさんの観光客で賑わっているが、社家町は余り知られていないのか、
ここまで歩いてくる人は少ないようで、閑静で落ち着いた雰囲気で散策を楽しめる。

「社家町」とは、上賀茂神社の神官たちの住宅が建ち並んでいる屋敷町のこと。
神主などの神職(社家)は、仕える神社のすぐ側に家を構えることが多いので、
その社家住宅が数多く建ち並んで社家町が形成されている。


神官の屋敷である社家は、上賀茂神社から流れ出る明神川沿いにある。
母屋と、これを囲む土塀、門、明神川にかかる土橋等どれも趣がある。

といっても、現在ではその数も減ってしまい、残っているのはわずかで、
社家住宅の町並みが国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。
これら社家住宅では、それぞれの家の敷地内に明神川の水を引き込んで、
生活用水や庭園のやり水、身を清める禊の水として利用してきたそうだ。


各家の門には土橋、石橋、木橋といった小さな橋が架かっている。
橋は、各家に1つだけ架けるという取り決めがあるということだ。
草の生えた橋もあれば、秋にはススキが生える橋もあるとか。


明神川の守護神として信仰されてきた藤木社(ふじのきのやしろ)。
説明板によると、社殿後方のクスノキの巨木は樹齢推定500年で、
この地のシンボルとして崇められてきた、とある。
明神川が南へ折れ曲がる三叉路にある。


上は、ポスターに使われていた写真。
下は、私が、同じ場所で撮った写真。
このポスターを見つけた時に、自分が撮った写真を探した。
撮った高さが少し違うが、この場所だ!と思わず叫んだ。

ポスターには、テレビでコメンテーターとしても活躍されている若一光司氏が書かれている。
「神官の屋敷たる社家の連なりが、国の重要伝統的建造物群保存地区に選ばれているのは、
全国で唯一、京の上賀茂神社に隣接するこの区域だけだ。 明神川に架かる石橋も、
いにしえの景観に風情を添えて。  若一光司」 と。



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