ニームと近郊の町


パリから高速列車TGVに乗って南フランスのニームへ。
TGVのことは『徒然記』で書いているのでこちらをどうぞ。
も一つ書き加えると、日本の新幹線のように高架ではなく、
歩く道路と同じ高さで走っていて、交差する道路は上か下かを通るが、
南へ行くにつれて増えたワインを作るぶどう畑のある田園地帯などの
通行量の少ない場所では踏み切りもなくTGVの線路を横切る道路も見えた。
高速道路を人が横切る危なっかしい感覚だ。

特記しておきたいのは、ニームはデニムの発祥の地であるということ。
中世の頃から織物産業の盛んな町だったそうで、
「デニム」の名は「de Nimes(ニームの)」から来ているとか。
開拓時代のアメリカへ渡って、丈夫な労働着として商品化されたのがジーンズ。


さて、ニームには数多くのローマの遺跡がある。
これは、イタリア・ローマのコロッセオを思わせる古代闘技場。
建設は紀元1世紀頃ということで、円形の闘技場では
ローマ時代には奴隷同士の闘技も行われたそうだが、
現在では、闘牛やコンサートなどに使われている。
闘技場前の広場には闘牛士の彫像まで置かれている。
中に入って一番上まで上がって撮ったパノラマ写真がこれ


これは、ギリシャ・アテネのパルテノン神殿を思わせるメゾン・カレ。
保存状態が良いとはいっても、柱はこのようにあちこちで壊れている。
地震が来ればひとたまりもなさそうだが、地震は滅多に無いそうだし、
2000年経ってもまだ残っているのだから、まぁ大丈夫なのだろう。


鎖につながれたワニ。
鎖につながれたワニが町のシンボルマークになっている。
古代ローマ帝国がエジプトを征服し、鎖にワニを繋いだ。
つまりナイルのワニがエジプトの象徴で、エジプトを征服したという証。
戦いに功あった軍人に与えたのがニームの町だったと言われていて、
ニームの町はワニのマークだらけ、ニームの紋章となっている。

ポン・デュ・ガール

ローマ時代の水道橋ポン・デュ・ガール。
石造りの三層構造で、最下層は6つのアーチ、中層が11のアーチ、
最上層は35のアーチから成っていて上層になるほどアーチの形が小さい。
最上層に導水管が設置されていて、最下層のアーチの上は道路になっている。
2000年も前に造られ、当時は水源からニームまで水を運んでいたというが、
水平に見えるのにちゃんと勾配がつけられている建築技術は素晴らしい。


道路になっている最下層のアーチの上から見たガルドン(ガール)川。
近くで見ると、橋を造っている積み上げられた石にも確かな技術が。

アヴィニョン

アヴィニョンの法王庁宮殿の巨大な壁。
中世に法王がローマではなくアヴィニョンに住んでいたことがあり、
その68年間に7人の法王がアヴィニョンで即位したそうで、
法王庁がこの町に置かれていた名残りである法王庁宮殿。


ローヌ川に架かっていて途中で切れている橋。
童謡『アヴィニョンの橋の上で』で有名なサン・ベネゼ橋。
度重なるローヌ川の氾濫により何度も橋が崩壊、
22あった橋脚の内、現在4本の橋桁のみが残っている。


アヴィニョン橋はアヴィニョンの城壁の外側にあり、
橋の上から振り返って法王庁宮殿を望む。


ここが途中で切れている橋の先端。
♪アヴィニョンの橋で踊ろよ、踊ろよ 橋の上で輪になって踊ろ♪
と、小さな可愛い子供が踊っていたら写真に撮りたかったのだが、
右端の男性か子供か、彼は踊っているのだろうか?

アルル

上の方が壊れていて高さが違うが門がある所が街の入り口。
ここを入って行くと両側に店が並ぶ賑やかな通りが続く。


アルルにも古代遺跡が数多くあり、ここにも円形闘技場があった。
ニームの円形闘技場と同じような雰囲気だったが、
この写真の真ん中の塔のように微妙に違っていた。


円形闘技場の南側にある古代劇場の跡。
半円形の階段状になった観客席の上から舞台を撮ったもの。
現在は数本の大理石の柱が残っているだけだが、
オペラやコンサートの会場として今でも使われているそうだ。


さて、アルルといえば、ゴッホ。
フォーロム広場にあるカフェの「夜のカフェ」。
ゴッホの絵「夜のカフェ」と同じ角度で撮ってみた。


ゴッホが入院した病院跡が今は総合文化センターになっていて、
アルルの文化活動の拠点となっている。
その中庭にはゴッホが100年前に描いた絵と同じ光景が再現されている。


奥のアーチ形の廊下に、手前の大木と右側の木、
真ん中の噴水を中心に放射線状に形作った花壇には、
色とりどりの美しい花々が咲き乱れていた。
左の大木の葉が茂り過ぎていて絵と同じ角度からは花壇が見えず、
右の写真は、大木を回り込んだ左側から花壇を撮ったもの。


最後に・・

ニームでは日本人を見かけなかったので日本では知られていないと思ったが、
ニームの円形闘技場へ入った時に音声ガイドが付いていて、
日本人だと言ったらなんとなんと日本語の音声ガイドを渡された。
ふ〜ん、こんな所へも日本人が来ているのね、やっぱり。
陰の声
アヴィニョンやアルルでは日本人観光客を見かけたので、
あちらからついでにニームへも寄るのだろうか…。






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