八甲田から酸ヶ湯へ


夫と友人の3人で出かけた今回の青森県への旅行は、計画段階で紅葉の時期を考慮した。
八甲田は10月上旬ー中旬、奥入瀬は10月下旬ー11月上旬、十和田湖畔は10月中旬ー下旬、
となっていて、すべてに紅葉は期待できないということで、結局3人の都合の良い日に決まった。
つまり、紅葉の見頃は八甲田の頂上だけで、他は期待できないことを承知で出かけた。
現役を引退したとはいえ男性2人がまだ仕事をしていて、都合の良い日が制約されるのだ。

家を出た時の京都も、飛行機に乗った時の大阪も快晴で、幸先は良かった。
青森県の天気予報は雨だったが、青森空港に着いた時には雨は降っていなかった。
午前中は土砂降りの雨が降ったそうで、ラッキー!と喜んで、八甲田へ向かった。

八甲田の頂上へはロープウェーに乗って一気に上がる。
八甲田へは7年前にも行っているので、写真は割愛する。

というよりも、頂上へ上がるに連れて小雨が降り出し、霧で見えなかったのだ。


ロープウェーからの眺めは7年前に載せたページ(こちら)で見てほしい。
小雨も止んだ頃に酸ヶ湯へ向けて歩き始めた。
予定では約3時間のハイキングコースだ。


7年前は遠くから眺めただけの毛無岱(けなしたい)湿原を今回は歩いた。
遠くではまだ霧がかかっていたが、見渡す限りの黄金の湿原は見事だった。


湿原はこのように木道を歩くようになっていて歩き易い。
が、雨で濡れていたので滑らないように注意が必要だ。


木道は狭くて、反対方向から来る人が居ると交わせないので、
所々にこのようにやり過ごす場所が側に設けられている。


霧はまだまだ消えないが、湿原なので水溜りと霧の風景もなかなか良い。


ある場所で小休止をとった時に、幸いなことに霧が晴れて日が差した。
一瞬のことで、何枚か撮った中でこの1枚だけが少し鮮やかに撮れた。
この場所は、頂上からはかなり下りていたが、まだら模様が美しかった。

山登りでは平地や下りではいつも元気で歩くスピードも早い私は、
上りになると途端にスピードが遅くなってしまい、上りが苦手なのだが、
八甲田から酸ヶ湯へは下りか平地で楽だと思ったのは大間違いだった。


このような道は快適だが、このような道ばかりではない。

下りと平地の歩きでその点では確かに楽だったが、
午前中に降った土砂降りで山道はぬかるんでいた。
岩場を下りる時など細心の注意を払っていても、
3人がそろって1回ずつ滑って転んでしまった。
厳しい山道に、写真を撮る余裕はなかった。
時には霧雨もあったが雨合羽を着る程ではなく、
雨に降られなかっただけでも良しとしよう。


駐車している車が眼下に見えた時にはホッとした。
この日泊まる酸ヶ湯温泉旅館関連の車と思われた。

ドロドロの登山靴で中へ入ったら申し訳ないと思ったら、
さすが、外にある水場では泥を取り除くブラシまで用意されていた。


翌朝は快晴で、酸ヶ湯温泉旅館の後ろに大岳がくっきりと見えた。
大岳に登ろうという話も出ていたが、日程の関係で今回は取り止めた。


奥入瀬へ行く前に、酸ヶ湯を散策した。
遠くに見える大岳は朝日に神々しく輝いていた。


地獄沼。
八甲田山の火山活動末期の爆発によって形成された沼。
地獄沼の水中では強酸性で90度の熱湯が湧き出ているそうで、
写真右奥の水が白く泡立っている所では湯気が上がっていた。


まんじゅうふかし。
東北大学の高山植物園から下った所の渓谷沿いにある。
小屋の中で温泉蒸気が中を流れる木箱に腰をかけてお尻を暖める。
子宝の湯、若返りの湯としての効果があるとか。

ところで、青森空港から八甲田へは時間節約のためにタクシーで行った。
バス代が結構高くてタクシーでも3人で乗れば負担はそれ程大きくない。
酸ヶ湯から奥入瀬へもタクシーを使おうと相談して運転手と交渉すると、
これ位の値段ならとの心積もりよりも安い値段で行ってくれると言う。
即決で、奥入瀬へもタクシーで行くことにした。


睡蓮沼。
このタクシーの運転手が親切で、サービスで10分間待っているから、
美しい風景の「睡蓮沼」を見て来ると良い、と言って途中で停まってくれた。
睡蓮沼へは散策で歩いて行ける距離ではなかったので見られなかったところを、
親切な運転手さんのおかげで、こんなきれいな風景を見られて幸運だった。

スイレン科のエゾヒツジグサが自生していることから睡蓮沼と呼ばれるとか。
高田大岳、小岳、八甲田大岳、硫黄岳、石倉岳など八甲田連峰の山々が見える。

さて、酸ヶ湯での特記事項は、初めて混浴を経験したことだ。
体を洗うことができる「玉の湯」で、山を歩いた汚れを落とし、
混浴の総ヒバ造りの「千人風呂」へ入った夫達の話を聞いてから、
私もこの歳になって初めての混浴を体験してみることにした。
あくまでも、「ネタ旅紀行」の話題のためである。

ヒバ千人風呂は1時間だけ女性専用になるので先ずはその時間帯に行ってみた。
たくさんの女性達が入っていて、その数にもその広さにも驚いた。
不思議だったのは、「四分六分」の湯の方が熱くて「熱湯」の方がぬるかったこと。

次に、混浴の時間帯に夫達と一緒に行ったが、脱衣所は勿論男女別だ。
お湯は白濁しているので、首から下がお湯の中にあれば見えないし、
女性側から入った場所に女性数人が居たが湯気でよく見えなかったと夫から聞いて、
女性側から入った場所から動かないことにした。女性は私1人だけ。

首から下がお湯から出ないように注意しながら少しだけ動いてみた。
近くで首から上をお湯の上に出した夫が見えたので、手を振って合図した。
「恥ずかしいから、お父さ〜んと大きな声を出すなよ」と釘を刺されていた。
「Tさんはどこ?」と友人の居場所を聞いたら、「彼はあちらだ」と言われて、
反射的にあちらの方角を見たら、立っている男性数人が見えてしまった。
が、私は目が良く見えないので、立っていると判るだけで見えなくて良かった。
友人は熱い湯に入れなくて、私の位置からは見えない場所に居た。

しかし、女性専用になった時間帯はわずか1時間だけで、
夫達が入った時は女性は数人、私も入った時は女性は私1人だけ。
女性は混浴を嫌がるから、混浴というのは男性天国だと思い知った。

そりゃ、そうだ、ただで裸を見せてやる、人の良い女性は居ない…。



奥入瀬渓谷ハイキングへ続く



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