大台ケ原・東大台


世界でも有数の雨の多い地域である大台ケ原の東大台と西大台の両方を
ハイキングしようと大台荘新館に1泊して2日をかけて歩いてきた。
大台ケ原ドライブウェーが整備されていて京都から約3時間半で行けた。
大台ケ原ドライブウェーは4月中旬から11月の期間に開かれている。


西大台の方は入山調整をしていて、事前に申し込んで許可を得て、
その日の朝か前日には講習も受けなければならない。
東大台の方は、普通の山と同じで入山は自由だ。
約9キロ(約4時間)コースの道が整備されていて、
大変歩き易くて見所も多く、初心者向きのコースでもある。


年間降雨量5000ミリという多量の雨が自然豊かな原生林を形成している。
自称晴れ男晴れ女の4人連れで行ったので、2日目は晴れだったが、
1日目はさすがに変わり易い山の天気そのもので降ったり晴れたりだった。
大台ケ原では晴れは似合わない、とこれは負け惜しみでも何でもない。
雨の大台ケ原こそが大台ケ原らしいと雨を歓迎した。


海からの湿った風が吹き上がり易い地形であるために、
霧が出やすく、霧が来るのも晴れるのも動きが早い。
日出ヶ岳山頂1695mで休憩していた時には、
気がつけば霧がかかり気がつけば晴れていた。


樹木の下枝の高さが奇妙にそろっている。
これは、シカが首を伸ばして枝葉を食べたからで、
あの高さがシカが伸ばせる首の長さということになる。

大台ケ原は昔は苔むすうっそうとした森だったのが、
昭和30年代の伊勢湾台風によりたくさんの樹木が倒れ、
それらを搬出したために乾燥化してコケ類が減少したとか。
コケに代わりはびこってきたのがミヤコザサで、
そのササを餌とするニホンジカが増えて、
樹木の皮もはがされるようになり、森の衰退が進んだようだ。


正木峠から正木が原へ。
トウヒの南限地だそうで、倒木や立ち枯れしたトウヒの光景が幻想的だ。
木製の遊歩道が整備されていてそこを歩くようになっているので、
周りの自然環境を損ねることなく散策できる。


これがトウヒの若木だと思うが、この若々しさと比べ、
倒れたり立ち枯れしたトウヒの姿は痛々しい。



さて、いよいよクライマックスの大蛇ー(だいじゃぐら)へ。


高さ1000メートルの大絶壁で立ちすくむような感動を味わい、
大峰山系のパノラマに見とれて下さい、と案内書にあるが、
写真の4人は別々の2人連れだが、どちらも約1人は、
立ちすくむ程の感動の前に立ちすくんでいるようだった。


大峰山系のパノラマどころか、下から霧が上がってきて、
足元さえ危うくなり早々にこの場を後にした。


これは、カエデ科のオオイタヤメイゲツだろうか。


木製の階段の両側にきれいな花が咲いていると思ったが、
花ではなくて雨に濡れて光っている葉だった。


これは、花の季節でなかったのではっきりしないが、
「ゴヨウツツジ」(シロヤシオ)の葉だろうか。
5枚の葉が輪生状に付いていてまるで花のようだ。


野生のシカをあちこちで見たが、あえて望遠で撮らず、
森の中で生きているシカの姿を撮ってみた。

最後はやはり、うっそうとした森の再生を願って、
うっそうとした森の写真で終わりましょう。



大台ケ原・西大台へ続く


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