クスコ観光


早朝5時にホテルを出発の予定だったが、前夜ナスカからの帰りが大幅に遅れたために、
ホテル出発の時間を少し遅らせてくれた。 それでも、4時45分のモーニングコール。
ホテルが用意してくれた簡単な朝食を食べて、6時15分集合で、専用バスで空港へ。
我々はマチュピチュでの2泊分の手荷物だけで、大きな荷物を預ける必要がないために、
各人でチェックインしないで全員一括チェックインをしてもらえて、短時間で手続き完了。

リマ発7時50分、1時間15分の飛行時間でクスコへ9時5分着。
世界遺産のクスコは、その昔、大インカ帝国の首都だった町だ。


3399mの高地にあり、飛行機でいきなり高地へ降り立ったので、何となく緊張。
空気の薄さを感じながら、ゆっくり歩き始めて、先ずはサント・ドミンゴ教会(太陽の神殿)へ。


これは現在の教会だが、この教会が建てられる前の「太陽の神殿」は、
広場を囲むように、月、太陽、稲妻、虹、星などの部屋から成っており、
部屋は美しい石組みで囲まれていて、中央に井戸がある中庭も美しい。


ここからはクスコの街並みが見渡せる。

スペインからやってきたスペイン人が征服してインカ帝国が滅亡して以後、
スペイン人は神殿を破壊してその上にスペイン風の教会を建てた。
先ずは、太陽の神殿の上にサント・ドミンゴ教会を建てて、
同じようにあちこちにスペイン風の教会を建てていった。
ところが、インカの石組みは堅固で容易に崩すことができず、
インカの石組みの土台の上にスペイン風の町並みができた訳だ。

何度かクスコ地方を襲った大地震のためにスペイン人が建てた教会は崩れ落ちたが、
インカ時代の石組みはびくともしなくて、今でも見ることができるあちこちの石組みは
インカ帝国隆盛当時そのままの状態で残されているものである。


「カミソリの刃も通さない」と言われる精密な石組み。
目を閉じて石を触ると境目がどこか分らない位だった。


これはまた最小の石組み。


石組みで囲まれている各部屋は、小窓を通して見通すことができる。


昔の姿を残す細い通りには民芸品店などが軒を連ねている。


12角の石。


14角の石。

12角の石も14角の石も四角形で積めば良いものを、
あえて12角や14角の複雑さに挑み、ぴったりと接合させている。


チップをもらうことを目的に、リャマを連れた少女や民族衣装で着飾った人が、
一緒に記念写真を撮りましょうと、お客を探してそこら辺りを歩いている。

さて、薄い空気の中で坂道をかなり歩いたために、頭がクラクラッとしてきた。

実は、初めて5200mもの高地を経験したチベットでは高山病が心配だったので、
あらかじめ高山病予防薬のダイアモックスを飲んでいて、全く症状は出なかった。
が、手がしびれるという症状が出て、あれは副作用だったのではないかと不安で、
次に高地を経験した4500mの玉龍雪山では薬を飲まなかったが全く大丈夫だった。
そして、3回目の高地経験の今回は、3399mという高度は大したことはないと、
全然心配をしていなくて、もちろん、薬は飲まなかった。

それが、頭がクラクラッとしてきて、倒れてはいけないのでしゃがみ込んだ。
その少し前に、ツアーの仲間の女性が1人気分が悪くなっていたことと、
チベットでは夫の仕事仲間の人が嘔吐したり入院したりしたことを思い出して、
ひどくなったらいけないとの思いから、体調がおかしいことをガイドさんに伝えた。
ガイドさんは近くの店で薬草のルダをもらってくれて、それを手で揉んで香りを出して、
両耳の中に突っ込んでくれたり、鼻につけて香りを嗅ぐようにと言われた。

そうして、座ってしばらく休んでいると楽になってきたので、又歩き始めた。
昼食を食べた店ではコカ茶付きだったので、コカ茶を4杯もおかわりした。
コカはコカインを作るコカの木の葉をお茶として飲み、高山病予防に効くそうだ。

後から何人かの人に聞くと、私のように騒がなかっただけで、
みんな大なり小なり高山病症状で頭がフラフラとしていたそうだ。
しかし、4500mでも平気だったのが今回高山病症状が出たということは、
高山病予防の、アルコール禁止、腹八分目、ゆっくり歩く、大声で話さない、
などを守っていたのに、前夜ナスカからの帰りが遅くなった上に早朝出発で、
睡眠不足(3時間睡眠)のために症状が出たとしか思えない。

昼食を食べた店で、「店の人に水をもらって!」と添乗員さんに頼んだら、
「普通にしゃべっているもん、元気よ。このグループは驚いたことにみんな元気よ!」
「いつも、普通、ここまで来たら何人も倒れ込んで一言もしゃべれないもん!」と。
やっぱり、しゃべれるかどうかが元気かどうかの判断の基準になるんだ。(^^;)


クスコの北西にあるサクサイワマンの要塞跡(バスの中から撮影)。
スペイン人に反抗したマンコ・インカは、この要塞に陣取ったが、
夜は戦わないインカ兵はその隙に攻め込まれて城壁も壊されてしまったとか。
サクサイワマンの遺跡は、巨石を3層に積み上げて造られていて、
22回ジグザグを描きながら、360mも続いているそうだ。


専用バスで2時間、クスコからオリャンタイタンボ駅へ。
オリャンタイタンボ駅から高原列車に乗ってマチュピチュへ行く。
(添乗員さんが写っているので顔が分らないよう小さな写真で。)
これがその高原列車の内部。上部も窓になっていて荷台がない。
荷物は足元に置けるだけなので、持ち込み荷物の制限がある。


窓からアンデスの山々を眺めながら2時間弱の列車の旅。
自生しているサボテンがたくさん見られたのが印象的だったが、
線路側を走っているウルパンパ川の水量が半端でなく激しくて、
荒々しく流れている様子はまるで台風時の川の流れのようだった。

これを書いている現在、巨大な東北地方太平洋沖地震が起きて、
津波の恐ろしさを見せつけられているが、この川の流れも怖かった。

そういえば、1年前に集中豪雨による洪水や土砂崩れでこの鉄道が寸断され、
マチュピチュから帰れなくなった観光客のニュースはまだ記憶に新しいが、
去年の夏頃から全線復旧したばかりだそうだ。この流れを見ると頷ける。

我々が行ったのは雨季にもかかわらず、洪水もなく無事に帰れて良かった。


マチュピチュを歩くへ続く
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