安平樹屋・その他


南北に長い台湾の半分より南側寄りに北回帰線があり、
台北などがある北側は亜熱帯で、台南などがある南側は熱帯である。
台南で滞在した1週間はとにかく暑かったというのが一番の感想である。


その暑かった台南で一番印象に残ったのがガジュマルの木である。
公園でも寺でも街でもあちこちに植えられているこの木の特異さには目を見張った。
中でも、国立成功大学内で堂々たる風貌で君臨しているこのガジュマルの木は、
日本統治時代の大正12年に昭和天皇が皇太子の頃にお手植えされたものだそうだ。

この樹形からは、単に堂々たる大木というだけだが、
この木の下に行ってみると、ガジュマルの特質を見ることになる。


ガジュマルは成長が早く、すぐに大木になるそうだ。
枝からはおびただしい数の根(気根という)が出て、
その根が地上に届きそれが幹と融合して太く成長していく。

この大木の下に立ちぐるっと周りを見回したパノラマ写真がこれ
写っているたくさんのどの木もすべてガジュマルだから驚く。

さて、驚いたなんてものではなく驚いたのが以下の安平樹屋。
「安平」というのは地名である。 安平にある「樹の家」。
英語ではTree Houseというので一体何だろうと想像もできなかった。


なるほど、「樹」と「家屋」ではある。
この木がガジュマルであることはすぐに分かった。
この後、この家に入ってからは驚きの連続であった。


完全に家の中が林か森の状態である。


屋根の上だってこの通り、屋根から木が生えている。

この家は、元々は倉庫だったそうだ。
塩の倉庫として使われていたのが、塩業が廃れて放棄されたとか。
半世紀以上も放置されたために、ガジュマルの木が建物を侵食したのだ。


どのようになっているか、これらの写真なら理解できるだろうか。
レンガを積んだ壁からは根が出てきて幹になっているし、
屋根の下には根がはびこり、屋根の上は森や林になっている。


これらの写真ではもっとその様子が顕著に分かるだろうか。
レンガの壁の隙間から這い出た根が地に根を下ろして幹になっているし、
壁を覆いつくしながらなおも上へ上へと幹や枝を伸ばしている。


これはいずれもドアだが、気根で完全にふさがれて通り抜けできない。

それにしても、廃屋を観光資源としたところはあっぱれである。

さてさて、ガジュマルの木に乗っ取られた家にペースを割き過ぎて、
「その他」として扱うには申し訳ないものの、その他にもう少し。


孔子廟。
台湾で最も古い最高学府。


赤カン楼。
台南で最も歴史の古い赤い柱の楼閣。


安平古堡。
オランダ人によって築かれた城塞。
階段も壁もオランダ人がインドネシアから運んできたレンガで造られている。


延平郡王祠。
日本統治期に日本の神社と寺院建築を模して改築され、日本風な面影が残る。


台湾で最も古く最も格式の高い台湾府城隍廟にある赤い巨大なそろばん。
人間の善悪の行いに対し因果応報をつかさどる神を祀っていて、
人が死ぬ時には、大きなそろばんを使用して生前の善悪を計算して、
審判を受け、天に昇るか地獄に落ちるかを決められる、
と、考えられているそうだ。

さて、「その他」で扱ったりして、どんな審判を受けるだろうか。

阿里山へ続く



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