阿里山


阿里山は、台湾で一番高い玉山(富士山より高い3952m)に連なる連峰の総称。
阿里山に入ってからの山並みは、いかにも南国らしい風景が続いていた。


この特徴ある木は檳榔(びんろう)の木で、山に入るに連れて、
場所によっては山全体がびっしりと檳榔の木で埋まっていた。
余談だが、この檳榔の実には軽い麻薬のような感覚があり、
チューインガムのように噛んで楽しむ風習があるようで、
そういえば、台南の町の中で「檳榔」と書かれた看板をよく見かけた。



阿里山は、香りの良い高山ウーロン茶の産地としても有名で、
切り開いた山肌のあちこちに茶畑が見られるようになった。
が、すぐに深い霧が出てきて何も見えなくなった。
山の天気は変わりやすいと言うが、標高が高くなったことが分かる。


標高2200mの辺りまでバスで行って、阿里山森林遊楽区を散策する。
阿里山森林遊楽区というのは、樹齢数千年の巨木群の遊歩道を歩く。
土壌を踏み荒らさないよう、また、巨木の根を守るために、
生態保護のために設けられた歩道を歩くようになっていて、
この歩道を歩くだけで20本の巨木を見ることができる。


「象鼻木」
なるほど、左の方、象の頭と目と鼻に見える。


「三代木」
三代に渡って同じ木の株から成長し枯れては又茂るを繰り返しているそうだ。
一番下に見える枯れて地面に倒れているのが樹齢1500年の一代目。
一代目の右側に見える枯れて立っているのが二代目。
一代目の後250年を経て種が落ちて枯れ木から養分をもらい二代目が育ったとか。
二代目の根が枯れて空洞になった後、300年が経ち三代目が芽を出して、
現在、真ん中で幹を伸ばし枝葉を茂らせているのが三代目。


左は、樹齢2300年の紅檜。
写真では大きさが分からないが、ぐっと引いて撮っても収まらない。
後で一代目神木を載せるが、これは阿里山の二代目神木である。

右は、樹齢塔。
1935年に日本人が阿里山を開発して大量の樹木を伐採した時に、
生き物にはすべて魂があるとの考えからこの塔を建立して樹木の霊を慰めた、
というものであるが、下にある輪は年輪を表しているそうで、1つの輪が500年とか。


所々に残っている切り株をよく見ると輪になっていることから、
この切り株は1本の巨木だったことが分かる。


左は、「千歳檜」。 樹齢2000年の紅檜。
木の形が両手を挙げて万歳をしている形に似ていることから、
日本統治時代には「万歳檜」と呼ばれていたが、
樹齢が1万年には達していないので「千歳檜」と改名されたとか。

右は、樹齢1500年の紅檜。

樹齢1900年の紅檜
樹齢1700年の紅檜



1906年に日本人の森林技師が見つけた時すでに樹齢3000年と推定されたこの木は、
その神々しさから神木と崇められたが、その後二度も雷に打たれ中が空洞になり、
1997年に大雨が何日も続いたために木が裂けてしまいついに倒れてしまった。
人々はこの木が立っていたその場所に横たえて置き、観光客の安全を祈願している。



阿里山森林鉄道の「神木」駅。
本来は木材搬出用に使われた鉄道が、今では観光路線として活躍している。
海抜30mの嘉義の町から海抜2000mの阿里山まで急勾配を登坂するため、
登坂時も下降時も機関車は嘉義側について暴走を防いでいるとか。
ちなみに、右側の嘉義から登ってきたこの列車はここ神木駅が終点で、
折り返し、右側の嘉義へ向かって降りて行く。

我々は阿里山までバスでやって来て、阿里山森林遊楽区を散策し、
この神木駅まで歩いてきたが、嘉義から阿里山森林鉄道で登って来ると、
ここ「神木駅」で降りて、阿里山森林遊楽区を散策することになる。


左は、これが鉄道の終点の線路の端っこ。
帰りは、この鉄道に乗って途中の駅まで下りた。

さて、阿里山の20本もの樹齢数千年の巨木群には圧倒されたが、
写真ではどんな巨木かがどうも十分には伝わっていないような気がする。
そこで、最後は、この写真ではどうだろうか。
木の幹の下が空洞になっている中に人が入っているのが見えるだろうか。



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