立山黒部アルペンルート・雪の大谷ウォーク



立山連峰がきれいに見えるのは珍しいそうだが、バスの窓からきれいに見えた。

立山黒部アルペンルートとは、標高3000m級の峰々が連なる北アルプス
立山連峰を貫き、長野県・信濃大町と富山を結ぶ山岳観光ルートだ。
扇沢から立山駅まで6種類の乗り物を乗り継いで行くことになる。

雪に埋もれていた道の除雪作業を終えて全線開通したのが4月16日。
アルペンルートの中でも一番標高の高い室堂(2450m)には、
道路の両側に除雪した雪の壁がそびえ立つ「雪の大谷」ができる。
開通間もない23日に、その「雪の大谷」を歩いてきた。

(1)先ずは、「関電トンネルトロリーバス」で、扇沢から黒部ダムへ。
正式には「無軌条電車」といい、環境に配慮した電気で動く電車の仲間だ。
赤沢岳(2678m)の下に掘られたトンネルの中を16分間で行くので、
景色を見るためにバスの左右どちら側へ座るのが良いか考える必要はない。
バスの窓から見えるのは、どこまで行ってもトンネルの壁ばかりである。


黒部ダムの放水は6月26日から10月15日ということで、
放水は見られなかった。ダム湖は氷で覆われていた。
黒部ダムは標高1454mにある。

徒歩約15分で黒部ダムの上を歩いて渡り、黒部湖駅へ。

(2)全線地下式の「黒部ケーブルカー」に乗り、5分で黒部平へ。


(3)「立山ロープウェイ」に乗り換え、7分で大観峰へ。
立山ロープウェイは、景観保護のため支柱が1本もなくスリル満点。


大観峰は標高2316mにあり、
ここからは近くの山や遠くの真っ白な山などが見えて圧巻。

(4)「立山トンネルトロリーバス(無軌条電車)」に乗り10分で室堂到着。
室堂駅は、日本で一番標高の高い(2450m)鉄道駅である。
立山(大汝山 3015m)の下に掘られたトンネルの中を行くので、
この時も、バスの窓からはトンネルの壁が見えるだけである。


いよいよ、両側に雪の壁がそびえ立つ「雪の大谷」を歩く。
1車線をバスが通り、1車線は人が歩けるようになっている。
今年は積雪量が多かったようで、例年より2mも高い約18mだとか。
道路を歩く人が小さく見えるし、通りかかったバスと比べてもその高さが分る。


全線除雪には3月上旬から40日以上かけて除雪作業をするそうだが、
一体どのようにして除雪をするのだろうか?
冬の間、バス道路は20mもの雪の下に埋まっている。
道路のあちこちに棒?を立てて道路の位置が分るようにしているそうだ。
以前はコンパスなどを使い道路を測量していたらしいが、
最近では道路測位システム(GPS)で正確に道路の位置が分るようになったとか。
そして、ブルドーザーが2台並んで雪面をカンナで削るように除雪していく。
「雪の大谷」区間の除雪だけでも1週間から10日間位かかるそうだ。


写真の真ん中辺り、横に線のように見える所が道になっていて、
こちら側から歩いて行き、適当な所まで行ったら引き返してくる。


歩き始めた最初の頃、バスが来ると急いでカメラを構えた。
バスを入れて撮ると、雪の壁の高さが際立って良いからだ。
しかし、ニュースなどで見た高さとはどうも違うと思った。
「雪の大谷」のどこもが18mもの高さという訳ではない。


歩いて行っている内に、次第に雪の壁の高さは高くなっていった。
が、この時点ではまだまだびっくりするような高さという程でもない。


ここまで来ると、確かにびっくりするような高さだ。
ずっと上を見上げていると、首が痛くなる。
上で載せた縦長サイズの写真2枚もこの辺りの壁だ。


「立山・雪の大谷 最高地点 18m」と書いてある案内板を入れて撮りたかったが、
中国から半端でない数の大勢の観光客が訪れていて、彼等は記念写真を撮りたがり、
案内板の側に立って記念写真を撮る順番を待つ行列ができていて、近寄れなかった。
そこで、数が途切れるのを待ち、行き過ぎて帰り道でせめて遠くからでもと撮った。


富山空港に中国や台湾からの飛行機が乗り入れるようになってから、
中国や台湾や韓国からの観光客が爆発的に増えて、大変な混雑だった。
どこでも、写真には人物が写らないようにと考慮して撮るようにしているが、
人物を入れないで撮るのはとても無理で、あえて入れて撮ると、この通り。


縞模様になっている雪の壁を見ると、その年の雪の降り方や気候の変動が分るとか。
雪質の違いで、寒かった時期とか、気温が高かった時期などが、
また、薄茶色になった雪で黄砂が降った時期なども分るそうだ。


高度が高い分、黒部渓谷よりももっとぐっと寒いとやはり脅された。
予備に持って行ったセーターを着てダウンジャケットを羽織り、
念のためにと持って行ったマフラーに手袋と完全装備で望んだが、
この日も思ったほどそれほど寒くはないと感じた。
と思ったが、やはり気温はマイナス2度だった。

ところが、前日はマイナス13度だったそうで、
この辺りはやはり厳しい天候の日が多いのだ。
我々の滞在中はずっと晴れていたと思っていたのに、
写真を見ると曇っている。山の天気は変わり易い。


室堂では、少し自由時間があったので、雪の大谷とは反対側へ出てみた。
人も少なくて、立山連峰をすぐそこに見ながら雪景色を楽しんだ。
スキーで滑り降りてきた人が居たり、登山の装備で下りてきた人が居た。
話を聞いてみると、片道4時間かけて「雄山」へ登ってきたそうで、
頂上では富士山まで見えたとか。それ程この日は珍しく天気が良かった。
どれが「剣岳」かも教えてもらった(2枚目の後ろにチラッと写っている)。

(5)雪の大谷ウォークを堪能した後は「立山高原バス」に乗り50分で美女平へ。
立山特有の気象状況や急勾配の道に対応できる高出力型のハイブリッドバスで、
ディーゼルエンジンと電気モーターの併用により排出ガスを抑制しているとか。

(6)最後は、「立山ケーブルカー」に乗り7分で立山駅へ。


最後の最後になって、ニホンカモシカが姿を見せてくれた。
ケーブルカーの窓からニホンカモシカを見つけたのは私!
が、突然のことで、その時には写真を撮れなかった。
直後にケーブルカーを降りて、写真を撮ろうとしていると、
右端の電柱の蔭へ隠れた1頭に続いて2頭目も現れた。
ケーブルカーの線路際の山から線路へ飛び降りて、
反対側の谷の方へと消えて行った。

カモシカが現れて消えたところで、さてさて、このページも終わりです。


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