チベット初体験




ラサといえば、先ずは、ポタラ宮から。
ダライ・ラマの宮殿であり、世界遺産に登録されている。
ポタラ宮には1000を超える数の部屋があるが、見学できるのは限られている。
中では撮影禁止なので、部屋の中の写真はない。
歴代のダライ・ラマの塑像が並ぶ観世音生本殿から始まり、
黄金や瑪瑙やダイヤ等の宝石がちりばめられた霊塔群などなど、
豪華絢爛のチベット仏教美術の数々が見られる。

観光客に混じって、チベットの各地からやってきた多くの信者が、
バターで作ったローソクを持って、お賽銭を投げながら回っていた。


次には、ジョカン(大昭寺)。
ジョカンの屋上に鎮座する金色臥鹿と法輪。
ジョカン寺の周囲をぐるりと巡るマニ車を回しながら歩く。
ここでは、チベットの習慣に従って、時計回りで見学する。
小さいマニ車を手に持って回しながら巡礼している信者の人達は、
大勢のその誰もがひたすら時計回りに歩いているので、
その流れに逆らって逆回りに歩くのは難しい。


ラサからバスでニンティへ移動した。
海抜3650mのラサから2700m-3000mのニンティへ行けば楽に感じるから、
との配慮からの移動だと思ったが、何と途中で海抜5013mの峠を通った。
バスから降りて、ゆっくり歩いて海抜5013mの空気を体験する。
寒くて、空気が薄くて、息苦しさを感じながら、長居は禁物。


これは珍しい水葬の場だ。
ニンティへの移動は、普通は観光客は入れないという場所へ、
特別の許可をもらって足を踏み入れたものだったようだ。
湖心島にあるこの石の上に亡くなった人を横たえ、
側の水へ流して、魚に食べさせるそうだ。
それで、チベットの人達は魚を食べないとか。


世界で一番古いという樹齢2600年のヒノキ。
直径5.8m、高さ50mとの記述があった。
周りを1周すれば寿命が2倍になるということで、
そんなに長生きしたくもないと思いながらも1周した。


ニンティから再びラサへ戻った。
その途中バスで通っていて、畑でよく見たのはこの植物。
バスからはよく見えなかったが、休憩で停まって近くで見れば大麦だった。

ラサからナムツォへバスで遠足に行った。
その途中で撮ったパノラマ写真を見てもらった上で(ここ)、
ナムツォへ行く途中には更に高い海抜5190m!の峠を通った。
凛として冷たい空気を吸いながら歩いたのは貴重な体験だったが、
薄い酸素に体が付いていかず、早々に引き上げた。



ナムツォとは「天の湖」を意味するそうだが、
ナムツォでは、門のような大きな岩が迎えてくれた。
チベットでは、どこでも5色の布を紐で結び付けている。
これは、タルチョと言って、布にはお経を印刷している。


ここで撮ったパノラマ写真を見てもらった上で(ここ)、
ナムツォは塩水湖だというのでなめてみたが塩辛くはなかった。
それより、水に入っているヤクを見つけて、
しまった、ヤクのおしっこをなめたかもしれないと後悔した。


また、ここにはマニ石が積まれていた。
石にはお経が彫られていて、供え物も置かれていた。

さて、チベットでは、バスが通る道をしばしば動物が横切る。
それは、ヤクだったり、牛だったり、羊だったり、黒豚だったり・・。
バスの運転手はけたたましくクラクションを鳴らす。
動物達はたいして驚きもせず、のらりくらりと渡りきる。




ヤクは、毛がふさふさしていて、尻尾も太くてふさふさしている。
チベットではヤクが大活躍。
ヤクの肉にヤクの乳にヤクのヨーグルトにヤクのバター、何でもヤクだ。


ところで、チベットへはヒマラヤ山脈を見たいと期待して行ったのだが、
思惑が外れて、ラサからはヒマラヤは見られなかった。
ラサ到着前に飛行機から見えた遠くのヒマラヤ山脈と、
バスの中からと帰りの飛行機から見たニェンチェンタンラ山脈。

さてさて、「高山病」抜きではチベットを語れない。
最後にチベットの風景写真を見ながら高山病の話で締めくくりましょう。


ラサの町は富士山の頂上ほどの高度にある(海抜3650m)。
空気が薄いという感じは本当に不思議な経験だった。
ラサの空港に降り立った時、体がふらっとして、ゆっくりとしか歩けなかった。
ちょっと足早に歩いたり階段を上がるとハアハアと息切れがした。
腹式呼吸が良いと読んでいたので、鼻から吸って口から出す呼吸をした。
夜、目が覚めたらハアハアと息をしていて、急いで酸素入り缶から酸素を吸った。
風邪気味で鼻が詰まり、そうでなくても薄い酸素を少ししか吸えなかったからだ。
空気が非常に乾燥していて、少ししゃべると口の中がカラカラになった。

高山病については、予防薬のダイアモックスを飲んでいたので、無事だった。
無事だというのは、吐き気も頭痛もなかったということだ。
多くの人がひどい頭痛がしたり吐き気がしたり、実際に吐いた人もいた。
病院へ入院した人もいた。
常に酸素入り缶を携帯して、少しでも息苦しくなると、酸素を吸った。

バスで遠足に行った時、高度が上がるにつれて体が重くなっていくのが分った。
あれ?腕が重いよぉ、と感じたら、そこは海抜5000mに近づいていた。
頭痛がして吐き気がして吐く寸前だったと言っていた人が言うには、
5000mから降りるにつれて頭痛も吐き気も治まっていったそうだ。


ラサの空港に降り立った時、真っ青な空に凛とした澄み切った空気を感じた。
緑の木の下に入ると酸素が多くて気持ち良いこともおもしろい発見だった。
緑の木は炭酸ガスを吸って酸素を出してくれるからだ。

右端の写真は、現地で買った酸素入り缶。1本20元(300円)。
缶の口からビニールチューブが伸びていてその先を鼻に入れて吸う。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

も一つ、特記事項がある。トイレの話である。
チベットでは、トイレに紙はなくティッシュペーパーを持って行く必要がある。
それだけならまだ問題はないが、そのトイレたるや、なかなか難儀である。
ホテルのトイレなどは勿論問題ないが、公共のトイレについては覚悟が必要。
トイレには仕切りの壁もドアもなく、丸見えなのである。
バスで移動の折には、青空トイレの覚悟が必要。
バスは適当な場所を見つけては、時々トイレ休憩をとってくれる。
適当な場所とは、隠れる木や岩がある場所という意味である。
ガイドは「女性は左、男性は右」と仕切ってくれる。
青空の下で風に吹かれながらのトイレも慣れればおつなものだが(^^;)、
時には草の先がお尻に当たって痛いことも…。
そこらじゅう先客のティッシュペーパーが散らかっていることも…。
恥も外聞も捨てなければ、チベットでの旅はできない。
恥も外聞も捨てた仲間とは親しい友達になれた気分だ。
男性群は草原でのトイレを快適に楽しんでいたようだが、
女性群は楽しむという境地には程遠かった。
青空トイレを楽しめれば、チベット人になれるだろうか。



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