高層湿原の花之江河へ(4日目)


ルート記入の屋久島の地図
(JRホテル屋久島様から許可を得て拝借した地図にルートを記入)

赤線がこの日日帰りで行った花之江河へのルート。

昨日使えなくなったカメラをホテルの部屋で診てみた。
濡れていたカメラのケースを乾かし、カメラを乾かした。
今朝起きてみると、カメラは直っていた。やれやれ。

この日の朝は屋久島滞在中初めて雨が降っていなかった。
今日は日帰りで高層湿原の花之江河まで行って帰ってくるのだが、
雨は降りそうにないので、レインスーツは着ないで軽装で、
荷物もハイキング用の小さなリュックで行った。
昨日までのあの大きなリュックに比べて何と身軽なことか。
こんな軽装で行けるのなら縄文杉へも日帰りで行けたかもしれないと思ったりした。
それ程、雨の中を重いリュックを背負っての山歩きは大変だった。


さて、朝7時半にガイドさんが車でホテルまで迎えに来て下さった。
今日は日帰りなので、ガイドさんが運転して淀川登山口まで約1時間半。
さぁ、ここ淀川登山口から今日のトレッキングが始まる。


お正月の鏡餅の飾りに使うユズリハは別に珍しくもないが、
若葉が出た後で前年の葉が譲るように落葉するという、
今が丁度その名前の由来の通りの状態だったので写真を撮った。


正長石の大型結晶のことを昨日書いたが、
今日歩いた所ではその長方形の正長石を土が押し上げているのか、
周りの土が流れ落ちたのか、こんな風に土の上に正長石が乗っているのを見た。
それが1つ2つなら目が行かなかっただろうが、その辺り一面がこんな状態だった。


淀川小屋の近くの川に架かった橋から左右を見た美しい眺め。
水が透明で澄んでいて、川底の緑はコケではなくて両側の木々の緑が映っている。


緑の森の中ではどこでも茶色のヒメシャラの木が目立つ。
屋久島で一番古くて大きいというヒメシャラを昨日撮らなかったのが悔やまれるが、
左の木が似ていて、シワもシミもあるヒメシャラならぬババシャラと言われているとか。
右の木はツルツルの木肌がいかにも若そうで、違いははっきりと分かる。


森の中で異様にも見えるこの幹はヤクシマシャクナゲの木だ。
今年は花期が遅れていて、山がピンク色に染まる様子を見ることはできなかった。
が、標高1100m辺りからそこここでヤクシマシャクナゲが咲き始めていた。


蕾の頃は濃いピンク色で、薄いピンク色に変わり、白に近いピンク色に変わる。
花が咲いていくそれぞれの時期のヤクシマシャクナゲの花を撮れた。


この日は雨も全然降らず、時折日も射す天候で快適なトレッキングだったが、
お昼ご飯を食べた辺りではおあつらえ向きに?霧が出てきた。
すぐ近くに大きな岩があり、岩の上から滑り落ちないように体を引っ張ってもらいながら、
ヤクシマシャクナゲと白骨樹ときれいな若葉のユズリハの群落を撮った。


今回の屋久島では青空の写真は珍しいので、ここで入れておこう。
右は、後でもう少し大きな写真を入れるが、これはサクラツツジ。


左の山道から少し下ってくると標高1620mに位置する小花之江河に出る。


幻想的な霧の風景を望んではいたが、もう少しは晴れてほしかった。
雨も降らず天気は良いのに、霧に霞んで遠くは何も見えない。
ツガ?の白骨樹は生きているそうだが、霧の中でぬっと立っている姿は何とも言えない。


小花之江河から少し登ると花之江河に出る。
標高1630mに位置する日本最南端にある高層湿原だ。
高層湿原とは、川が流れ込まずに雨水だけで維持されている湿原を言うのだそうだ。
湿原を雨水だけで維持できるのは、雨量の多い屋久島だからこそだ。

点在する屋久杉の白骨樹と苔むす湿原がはっきりと見えるはずなのだが…。

フタリシズカ ムチゴケ シノブゴケ
スギゴケの花 サクラツツジ アラハシラガゴケ
ホウロクイチゴ コケリンドウ オオシラガゴケ
チャボシライトソウ ハイノキ ヒカゲノカズラ

とても載せきれないが、木や花やコケ類などの自然観察も楽しめた。


「紀元杉」 推定樹齢3000年。
淀川登山口へは夕方の4時40分頃に戻った。
そこから車でホテルへ帰る途中の道路のすぐ脇に「紀元杉」はあった。
つまり、紀元杉は車で行くことができる最も大きな屋久杉である。

ヒカゲツツジやヤマグルマなど20種類以上もの植物が着生しているそうだ。
ヤクシマシャクナゲやナナカマドも着生しているというから、
おもしろい、夏には「私はヤクシマシャクナゲよ」と咲き誇り、
秋には「俺はナナカマドだぞ」と赤く色づく訳だ。

明日は屋久島を離れます。

屋久島へ(1日目)へ戻る
白谷雲水峡から縄文杉へ(2日目)へ戻る
縄文杉から荒川登山口へ(3日目)へ戻る
屋久島最後の日(5日目)へ続く




戻る   目次へ