高村光太郎の「智恵子抄」で智恵子が言った言葉。 「東京には空がない。ほんとの空が見たい。 阿多多羅山の上の青い空がほんとの空だ」 と。 その「ほんとの空」を見に行こうと思った。 |
これは、1日目に泊まったホテルの前の鏡ヶ池の青空の風景。 「ほんとの空」の下で癒される、本当のおもてなし。 詩人、高村光太郎の妻、智恵子が愛したあだたらの空。 この「ほんとの空」の下に佇み、安達太良山に抱かれた絶好のロケーション。 ・・・とは、この日泊まったホテルの宣伝文句に書かれていた言葉だ。 |
歳をとった最近では、ゴンドラなどである程度上まで上がり、 残りを頂上まで登るというお手軽登山がもっぱらになった。 安達太良山でも、ゴンドラリフトで標高1350mの山頂駅へ。 そこから往復3〜4時間の予定で標高1700mの頂上を目指す。 もちろん、歩くだけならもっと少ない時間で往復できる距離だが、 ゆっくり写真を撮ったり、休憩したりするので余裕を見て行く。 山頂駅でゴンドラから降りて歩き始めた道は、 このように歩き易い道だったが、霞んでいた。 |
頂上まで何とか雨に降られないで到着できた。 しかし、霧に霞んで「乳首」はぼんやりと見えるだけ。 「乳首」とは、安達太良山は別名「乳首山」とも言われていて、 頂上に突き出ている岩が乳首のように見えるからだ。 ここは、みんなが記念撮影をする頂上広場だが、 実は、ここはまだ本当の頂上ではないらしい。 ネットで見ると、この場所を撮った写真の標識は2種類ある。 2年前の写真までは、確かに「安達太良山頂」となっている。 しかし、私も撮った今年の写真では「安達太良山」だ。 つまり、以前はここを記念撮影用の山頂としていたが、 最近では後ろの「乳首」を山頂とした、ということか。 その本当の頂上の乳首へ登ろうとしたが、下りてきた人に聞くと、 上では強風が吹き荒れていて怖かった、鎖場もあるし危ない、 もし上がるなら十分気を付けて下さいよ、と言われた。 若い男性の、こちらが年寄りと見ての忠告だと思われた。 この天気では何も見えないだろうし、危ないならと止めた。 写真を撮って下り始めてすぐに雨が降り始めた。 ぼんやりと見えた乳首もこの雨では見えないだろうから、 ぼんやりとでも見えてまだ良かった、と思うことにしよう。 |
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