建仁寺のハンゲショウとコケの庭


建仁寺塔頭の両足院で、ハンゲショウが見頃だった。
ハンゲショウは、漢字では「半夏生」と書き、
名前の由来は、夏至から11日目の半夏生の頃に開花するから。
が、葉が半分白くなり、半分化粧したように見えることから、
「半化粧」と書く、という説の方にもなるほどと思ってしまう。

開花する花は小さくて地味な色で目立たないために、
昆虫を誘う為に、目立たない花の代わりに葉を白くして、
地味な花を目立たせるための花弁の役割をしているのだとか。

花が咲いた後は、白く色づいた葉は再び緑色に戻るそうだ。

ハンゲショウは、「天龍寺で咲くハンゲショウ(こちら)」でも載せていて、
天龍寺では、部分的に白くなっている葉を近づいて撮った写真を載せたが、
数が少なかったので、建仁寺のハンゲショウは全体像の写真から始めよう。


次には、もう少し近づいた写真で続けよう。


こうして見ると、白い花が咲いているとしか見えない。


建仁寺のハンゲショウは、半分白いというより、
1枚の葉全部が白くなっていたように思う。
これは、時期によるのだろうと思われる。

確かに、花は地味で、これでは葉が派手に白くなり、
昆虫を引き付ける役を担っているという意味も分かる。


たくさんのハンゲショウが庭を賑わせていた。


ハンゲショウが見頃の庭は建物を置いた方が見ごたえがある。


次には、建仁寺の庭の一つである「潮音庭」。


向かい合う2つの書院とそれをつなぐ回廊の中にあり、
緑のコケの庭を四方から眺めることができる。


コケの上には、渦を描くように、いくつかの石が置かれていて、
どの方向から見ても美しい眺めになるよう計算されているとか。
葉の間から日が差しコケの上に模様を描き緑の濃淡をつくっている。


あちらから庭を見ている人たちを、こちらからも見ながら庭を眺める。


これは、「〇△□乃庭(まるさんかくしかくのにわ)」と言うそうで、
禅宗の四大思想(地水火風)を地(□)、水(〇)、火(△)で象徴しているとか。
手前の四角い(□)井戸は“地”、真ん中の丸い(○)苔は“水”、
盛られた白砂は三角形(△)になっていて、“火”に見立てているのだとか。
このお庭を見ることで、地と水と火を感じて(風は肌で感じることができる)、
宇宙の根源的形態である四大思想から宇宙の神秘を感じましょうという意味だとか。


白砂が出てきたところで、コケの庭ばかりでなく白砂の庭も入れて終わりとしよう。

なお、建仁寺については、これまで2度、以下のページで書いている。

・建仁寺塔頭・霊源院の甘露庭(2018.5.25)(こちら
・建仁寺へ初詣(2012.1.2)(こちら


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