大牧温泉



船でしか行けないという北陸の秘境の温泉・大牧温泉へ行ってきた。
テレビなどで紹介されて、シーズンには予約も取れないと聞くので、
もはや秘湯とは言えないかもしれないが、
しかし、その佇まいは確かに秘湯と呼ぶにふさわしい。
静か過ぎるほどの渓谷の中、小さな船で緑の川を行くと、
やがて船は山峡にひっそりと建つ一軒宿に着く。
庄川にせり出して建つ旅館の各部屋はダム湖となった緑の川の上にあり、
雪が残っている山をすぐそこに見ながらの眺めは絶景。

     

高岡からバス70分で小牧ダム堰堤へ。
車で行っても行けるのはそこまでで、そこからは小さな船で行く。
船は庄川の渓谷を抜けて行くが、両側の山の斜面では
カモシカがのんびりと遊んでいた。
誰かが手を叩いて音をたてると、こちらの方に顔を向けた。
風に吹かれながら次々と変わる渓谷の景色に見とれていると、
船は30分で山の中の「大牧温泉観光旅館」に着いた。
旅館のすぐ裏側には山が迫っており、
ただ1軒のこの旅館の他には全く何もない。
散歩道もないので、外を歩き回ることもできない。
それに、下のような注意札が立っていた。

     

この日の泊り客は船で一緒になった十数人だけだったようで、
当然ながら温泉も空いていて、一人でゆっくり入れた。
男女別の岩に囲まれた露天風呂は、目の下の庄川の緑と
目の前の山肌に残る雪の白とを楽しみながら満喫した。
女性用の露天風呂は隣り合って2つあった。
しかし、この露天風呂に入ったことには少々書くべきことがある。

     
写真をクリックすると“雨の中水もしたたるいい女”
が見えます。

船から降りた頃より降り出した雨が強くなっていた。
負け惜しみでも何でもなく、雨になったことは大いなる話の種で、
「Mizuの部屋」のおあつらえ向きのネタになった。
露天風呂へ出る廊下には傘と草履が用意してあった。
迷うことなく、傘をさして露天風呂へ行った。
傘をさして温泉に浸かっている姿は滑稽かもしれないが、
本人も後で「Mizuの部屋」に書くことを思って独り笑いの入浴。
髪まで洗うつもりはなかったが、雨で濡れたので、
露天風呂の側に備え付けてあるシャワーで洗うことにした。
左手で傘をさして、右手でシャワーをかけることは出来たが、
髪を洗う時には両手で洗うために傘を側に置いた。
前かがみで洗っている背中に冷たい雨が打ちつける。
洗う先から髪も雨に濡れる。
最後は左手で傘をさして右手でシャワーをかけて、
仕上げは上々。 タオルで巻く。
傘をさしてまたゆっくりと湯に浸かる。
着替えをする所はさすがに屋根があるので濡れる心配もなく、
体は大変温まったので寒さを感じることもなく、
ホッカホッカの体で、また傘をさして部屋へ戻る。
ここの露天風呂は、後ろは山、前は川と向かいの山なので、
囲いなどは何もなく、誰かに見られていたとすると、
それは、クマかキツネかタヌキかカモシカ…か。

     

(左の写真)朝食は食堂で、炭火で魚を焼いて食べた。
なかなかに趣のある心配りで気に入った。
その前の夕食は部屋で摂った。
実は、乗船場へ向かうバスの中で偶然知り合いの御夫婦に会った。
行き先は同じ大牧温泉で、その偶然には驚いた。
部屋は4人でも十分な広さだったが、
その御夫婦が手配して下さったおかげで、
別のもっと広い部屋を特別に用意してもらって、
そこで、4人で一緒に賑やかな夕食をした。
泊り客が少ない時期だからこそのサービスを受けられた。

では、次に
木彫りの里・井波へ。


大牧温泉へはこちらをどうぞ。


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