いつからだったか忘れたが、ずっと前から屋久島へ行きたいと思っていた。 そして、屋久島へ行くなら縄文杉ともののけ姫の森を見に行きたいと思っていた。 ところが、調べてみると朝早く出発して夕方まで10時間も11時間も歩き続けないと 縄文杉への往復は叶わないことが分かり、自分の体力と脚力では無理だと諦めた。 又ところが、夫より年配の人から縄文杉で写した写真を載せた年賀状が届いて、 それなら我々にもまだ行けるのではないかと希望を持ったその頃、 世界遺産に登録されて大勢の人が訪れるようになりトイレ問題が起こった。 まるで街中の混雑を見るような大勢の人が行列して歩いている様子をテレビで見て、 森の中でラッシュアワーのごとく行列して歩くことに嫌気がさしてもう一度諦めた。 またまたところが、去年、縄文杉なしの屋久島ツアーへ行った夫の友人が、 縄文杉へは日帰りでなくても山小屋へ泊まって行く方法があるとの情報を仕入れてきて、 それなら我々にも行けるのではと、3人で行こうと相談がまとまった。 山小屋で泊まるなら混雑を避け大勢の人が行く時間とはずらして行けるし、 大勢の人が行く一般ルートではなく別ルートで行けるという利点がある。 その代わり、日帰りなら軽装で良いが、寝袋などの大荷物を運ばなければならない。 山には素人の高齢の3人のことだからガイドさんをお願いすることにして、 日程やコースのことなどガイドさんといろいろ相談しながら決めていった。 持ち物のことなども細かく教えてもらいながらあれこれ準備していった。 普段運動不足の我々のことだから、何ヶ月も前から歩く訓練に入った。 山で2泊する縦走コースに決まって、3日間歩き続けることになるので、 3日間連続で歩く訓練もした。 さて、5月21日出発の日は良いお天気だった。 1日1便だけ運行の大阪伊丹空港13:15発の屋久島直行便。プロペラ機だ。 屋久島空港はプロペラ機しか着陸できず強風が吹くとすぐ欠航になるとか。 伊丹空港出発も屋久島空港到着もほぼ予定通りだったが、 屋久島空港14:50着。大阪出発は晴れだったのに1時間半後に着くと、 1ヶ月に35日雨が降ると言われている屋久島のこと、やはり、雨だった。 夕方6時までには予約しているレンタル品を取りにスポーツ店へ行かねばならず、 時間がなくレンタカーではなく空港からタクシーを3時間貸し切って島内を回ってもらった。 タクシーは事前調査では1万8千円ということだったが1万5千円で回ってくれると言う。 (写真が鮮明でないのは雨で煙っているのであってあえて修正していない) タクシーは観光タクシーと同じで運転手があれこれと詳しく説明してくれる。 いろいろな観光名所で停まって待ってくれて、我々だけで歩いて見に行く。 タクシーには傘まで用意されていて、借りた傘を差して見に行く。 これは千尋の滝。「ちひろ」ではなく「せんぴろ」と読む。 左側の斜面も含め巨大な花崗岩の一枚岩で形成されたV字形の渓谷を、 66mの高さから清流が流れ落ちていて見事である。 雨雲をまとっているモッチョム岳。 人を寄せ付けないその姿から山の厳しさが想像できる。 中間ガジュマル。 ガジュマルの木はどこで見てもその奇妙さに圧倒される。 日本の滝100選にも選ばれている大川の滝。 高さ88mの断崖から流れ落ちる様は圧巻である。 同行した友人は去年ツアーで来た時にも見たそうだが、 水量が全然違ったそうで、やはり滝は雨の日に見るに限る?
千尋の滝も中間ガジュマルも大川の滝も世界遺産には入っていないが、 世界遺産の中に入っている西部林道ではあちこちでシカやサルに出会った。 屋久島の鹿はヤクシカと言い、屋久島の猿はヤクザルと言う。 わざわざタクシーを停めて写真を撮らせてくれた。 世界遺産の登録エリアで、唯一車で通過できるのがこの西部林道。 タクシーの窓から大きな葉の植物が目立ったので運転手に尋ねた。 クワズイモだそうで「食わず芋」のことで、サトイモに似ているそうだが、 食べられないどころか、毒性があるので手でも触れない方が良いそうだ。 写真を撮りたいと言うとタクシーを停めてくれたが、これでも小さめの方だ。 永田いなか浜はウミガメの産卵地で、 これが、海から上がり海へ帰っていったウミガメの足跡とか。 タクシーを頼んだ時には、千尋の滝とその辺りへ行って戻ってもらう位に考えていたのに、 3時間あれば島を一周できると言われ、結局島内をほぼ一周してもらったことになり、 その上、レンタル品を受け取るためにナカガワスポーツ店へも寄ってくれて、 宮之浦にある我々が宿泊するシーサイドホテルへ送ってくれると言う。 しかし、レンタルのレインスーツは合うかどうか試着してみるようにと言われ、 すべて終わるには20分位かかるということで、タクシーには帰ってもらうことにした。 ナカガワスポーツ店からホテルはすぐ近くなのでホテルまでは歩いて行ける。 運転手は親切で、荷物をホテルまで運んでおいてくれると言う。ありがたい。 結局、3時間では回れないだろうと思っていた所へもあちこち行けて、 思っていた以上の満足感で運転手には感謝してチップを含め1万8千円を払った。 登山用品は高価で何万円もするので1回しか使わないのに勿体ないとレンタルにした。 大きなリュック、ザックカバー、寝袋、レインスーツを借りた。 ロールマットだけは普段の生活でも使い道があるからと買って持って行った。 レンタル品は最初どうかなと思ったが、どれも新品同然で清潔できれいで感心した。 ところで、ホテルへ着く頃ガイドさんから電話が入った。 明日の天候が悪く宮之浦岳登山は危険とのことでコースを変更しようという相談だった。 実は、我々も、悪天候の中を宮之浦岳へ登るのはきついから止めたいとの希望で、 即座に、ガイドさんにお任せします、と相談がまとまった。 (JRホテル屋久島様から許可を得て拝借した地図にルートを記入) 黒線は、空港からホテルまでタクシーで観光しながら一周したルート。 赤線は、淀川登山口から白谷雲水峡まで山小屋2泊の最初予定のルート。 さて、明日はいよいよ縄文杉を目指して歩きます。 |