朝から雨。朝7時半にガイドさんが車でホテルまで迎えに来て下さった。 今夜は山小屋泊まりなので車を持って帰ってもらう人も一緒に2人で来て下さった。 ガイドさんの判断で、悪天候のためルートの変更をして、 この日は白谷雲水峡の入り口からもののけ姫の森(白谷雲水峡)を経て、 縄文杉を越え、避難小屋である高塚小屋まで行くことにした。 最初の予定ではこの日は淀川登山口から屋久島最高峰(九州最高峰)の 宮之浦岳を目指し、手前の避難小屋まで登ることになっていたが、 宮之浦岳はこの日は暴風雨との情報に、ルートの変更をして良かった、と、 ガイドさんの判断に感謝した。 屋久島では場所によって時間によって天候がひどく違うそうで、 宮之浦岳は暴風雨との情報にも、白谷雲水峡や縄文杉では小雨程度だった。 何しろ、屋久島の年間降雨量は平地で約4000mm、山地で8000mmから10000mmとのこと。 奈良県の大台ケ原へ行った時も、年間降雨量5000mmと知って驚いたものだが、 1年間に10000mmを超える雨とは信じられない雨量だ。 1ヶ月に35日雨が降るという言葉にも頷ける。 ホテルから白谷雲水峡の入り口までは車で約30分だが、 レインスーツを着たり装備を整え、8時半頃から歩き始める。 白谷川河原の「憩いの大岩」と呼ばれる花崗岩の巨大な一枚岩の辺りでは、 ガイドさんは何度も立ち止まって説明して下さり、ゆっくりトレッキングの始まり。 二代杉。 写真下半分の切り株の上に種子が落下し発芽生育した二代杉。 このようにして世代交代が行われることを切株更新と言うそうだ。 絞め殺しの木というのをオーストラリアの熱帯雨林で見たことがある。 ここ屋久島にも絞め殺しの木があった。屋久島のはヤマグルマ。 他の木に巻きついて絞め殺すように成長するためにこの名前が付いている。 実際に巻きつかれた木は次第に枯れていく。
標高800mの白谷川流域に広がる白谷雲水峡には、 大小多数の滝があるが、左は「飛流おとし」 花崗岩の大岩の間を清流がダイナミックに流れ落ちる。 ところで、右は、キリンに見えますか?
緑の森の中で皮がはがれた茶色のヒメシャラの木が目立っていた。 同じヒメシャラの木にできたコブを表から見ればサルに見えるが、 裏から見ればライオンに見える。なるほど、おもしろい。 さてさて、そろそろ、もののけ姫の森の雰囲気になってきた。 この場所ではないが、沢を渡る場所があり、この日は渡ることができたが、 増水時には渡ることができないので、注意が必要だ。 翌日のことだが、ガイドさんが仲間との連絡で、増水で渡れないと言っていたので、 一日のことで我々は渡れて良かったと幸運を喜んだ。 「くぐり杉」 倒木更新の一代目が朽ち果てて、倒木上に二代目が育った屋久杉。 これにもやはりヤマグルマが巻きついている。 さぁ、ここが宮崎駿監督の映画「もののけ姫」の舞台のイメージとなった森。 一面がコケやシダで覆われ幻想的な雰囲気だ。 原生林や苔むした森が広がり手つかずの自然が残っている。 このあと雨は上がるが、もののけ姫の森では雨だったのが幸いだった。 苔むした緑深い森には雨にけむる雰囲気が似合っている。 深い森の中でもヤクシカがコケを食べていた。 楠川分れ。 縄文杉への一般的な日帰りルートは、上記地図を見て分かるように、 荒川登山口からこの長いトロッコ道を歩くことから始まる。 いつまでも続くトロッコ道にこれは楽勝だと思っていると、 縄文杉へは急な登り道が続くことになるのだが、 我々は荒川登山口の混雑を避け、山道を歩いて白谷雲水峡からここへ出て、 楠川分れからは日帰りコースと同じ道を行くことになる。 日帰りコースの人達は時間的にとっくにここは通り過ぎていて、 すでに縄文杉へ到達している時間帯で、我々の他に人は少なかった。 「三代杉」 写真には一代目から二代目の下の部分しか写っていないが、 一代目の倒木の上に二代目が育ち、二代目の切り株の上に三代目が育っている。 最初のを「倒木更新」と言い、次のを「切株更新」と言う。 一代目の樹齢が1200年、二代目が1000年、三代目が350年経っているそうだ。 雨も上がっていたし、この三代杉の場所で昼食にした。 阿吽の「仁王杉」など名前の付いている杉や名もないが大木の杉など見ながらひたすら歩き、 トイレのある大株歩道の入り口からは急勾配の道が続き、厳しくなる。 「翁杉」 推定樹齢2000年。 険しい登山道に入って最初に対面するのが翁杉。 樹皮一面がコケに覆われ、サクラツツジやナナカマドなどが着生している。 見上げる上の樹のてっぺんは枯れていて無い。 あ、写真で分かるように、お昼頃からは日も射してきた。 が、しかし、山の天気は実に変わりやすく、あっという間に再び雨になったり、 気がつけば晴れていたり…と、晴れてもレインスーツはそのまま着用していた。 「ウィルソン株」 1586年に伐採されたと言われる巨大な切り株で、 切り株自体は生きていないが、廻りの杉は今でも生き続けている。 根周り32.5m、切り株の直径13mもあり、その上に伸びていた杉の木はどんな大木だったか! アメリカの植物学者ウィルソンが雨宿りのために入った洞穴が実は切り株だったのだ。 その洞穴に入って上を見上げてみると、切り株の上はぽっかりと穴が開いていて、 元気はつらつの杉の大木がそびえ立っているのが見えた。 内部は10畳ほどの空洞になっていて、上の穴は角度によってはハート形に見える。
「タコの足」とも「千手観音の手」とも見える杉の枝振りと、 絞め殺しの木の手か足か? 「大王杉」 推定樹齢3000年。 縄文杉が発見されるまでは最大の屋久杉と言われていた。 なお、樹齢1000年以上の杉を屋久杉と言う。 望遠で撮ったが、まるで観音さまのような白骨樹。 これは縄文杉への行きで撮ったのだが、この時は晴れていたので白く見えたが、 帰りに通った時に見ると暗くてはっきり見えなかった。 やはり、何物も撮れる時に撮っておくべきだ。 「夫婦杉」 推定樹齢1500年。 夫婦仲良く手を取り合っているように約10m上で結ばれている2本の杉。 さてさてさて、いよいよ縄文杉へ到達です!! 縄文杉到着が夕方の時間だったので、我々4人の他には誰も居なかった。 縄文杉を独り占め! いえ、4人占めです! でもでも、今日は写真をたくさん入れたので、縄文杉の写真は明日(^^;)。 縄文杉が近づくにつれ、急勾配の道が続き、短い足では階段や岩を上がるのに ヨイショ!っとかけ声をかけないと上がれないほどの急勾配で体力を使い果たし、 何度も立ち止まっては呼吸を整える回数が増え、縄文杉へ着くのが遅れた。 雨の中重い荷物を背負い滑りやすい足場の悪い道を登るのは想像以上に大変だった。 縄文杉から更に少し上がった所にある屋根のある休憩所で我々3人は休憩して、 ガイドさんが更に上の避難小屋まで偵察に行って下さった。 休憩所に着いたのが夕方の5時頃で、20人位が泊まれる小屋はすでに一杯で、 屋根のある休憩所の床にテントを張って4人で寝ることにした。 トイレも外で電気もない小屋で大勢で寝るよりも、 テントで4人だけで寝た方が結果的には良かったと思った。 ただし、トイレがないので携帯トイレの出番がきた。 ガイドさんが休憩所の柱にロープを張って、濡れたものを乾かせるようにして下さった。 レインスーツを着ていたので雨では濡れなかったのに服などは汗でびっしょりだった。 ところが、汗でびっしょりだった下着は着たままですぐに乾いたのには驚いた。 速乾性が素晴らしく、登山用の高い下着を買ったのだが正解だった。 ちなみに、登山靴も優れものだった。 ぬかるみどころか水の中をバシャバシャと歩いたのに靴の中は全く濡れていなかった。 暗くならない内に夕食を済ませてからテントを張って寝た。 シカは来るがクマは出ないというガイドさんの話に安心はしたが、 真っ暗な中で風と雨の音が強くて、眠れなかった。 |