ハプニング


アメリカはオーランドからの帰り、デトロイトで飛行機を乗り継いで、
関西空港へ向けて帰国の途についた。
飛行機の窓から見える風景は、緑の山々から赤茶けた山々へと移り、
そして、雪を抱いた白い山々の連なりから真っ白の世界へと変わっていった。
夏でも白い雪山が続くアラスカの上空はいつ見ても見飽きない。
眼下の景色からアンカレッジを過ぎたことを知ることができる。


これは珍しい現象だと思って写真を撮っていた。
飛行機が作る飛行機雲にしては、翼の先ではなく管のような所から出ていた。
まもなく、機長からの「緊急着陸する」とのアナウンスがあった。
余分な燃料を捨ててから着陸するとも言っていた。
ということは、これは飛行機から捨てられていた燃料ということになる。
万一の時のために、爆発を防ぐために余分な燃料を捨てるのか。

通常より多くの燃料を消費しているために燃料漏れしているということで、
点検のためにアンカレッジへ引き返して緊急着陸するとのことだった。
緊急着陸といっても、燃料系統の不備で点検のためという説明に、
深刻な緊急性は感じられず、誰も騒ぐ人は居なかった。
「着陸自体は通常着陸です」との説明にも安心できた。

帰国後にインターネットで調べて知ったことだが、
飛行機の燃料はケロシンと呼ばれる灯油に似たものだそうだ。
飛行機の燃料は翼に入っていることも初めて知った。

下の写真は、19人乗りの小さな飛行機に乗った時のもの。
翼に燃料を入れているのを目撃して写真に撮っておいた。
まさに、車にガソリンを入れるがごとく、である。


さて、アンカレッジには無事緊急着陸したが、後がいけない。
アメリカを一度出国したので飛行機の外へ出ることはできず、
機内で待たされること延々4時間半。しかし…。
結局、燃料漏れの個所が見つからないので別の飛行機を用意するとのこと。
別の飛行機といっても、アンカレッジに待機の飛行機は無い。
アンカレッジのホテルで泊まることになった。

昔はアメリカ行きもヨーロッパ行きも給油のためにアンカレッジに降りていた。
アラスカ行き以外の旅客機が立ち寄らなくなってからはさびれているはずだが、
貨物機のチェックをアンカレッジでするようになって、それなりに賑わっていた。

一度出国したので再び入国審査を受けなければならないが、おもしろかったのは、
「米国に滞在中の住所」欄には「NORTHWEST」と書くようにとの指示があった。
滞在先を「飛行機」と書いたのは初めてだ。
緊急にジャンボ機1機分の人数の入国審査をするための職員の手配にも手間取り、
さらにかなりの時間を待たされた。
再び入国審査を受けて、疲れた体で全員バスでホテルへ。
しかし、ホテルへ行ってもジャンボ機の乗客全員に部屋はもらえず、
ホテルの大広間で雑魚寝ということになってしまった。


この写真は、ホテルの大広間での雑魚寝の様子。
飛行機から毛布と枕を持ち込んでの休息。
あちこちで大いびきの合唱、出入りの音で眠れるものではない。
ソファーや椅子で談笑している者、インターネットしている者、
飲食している者・・ハプニングの起こった夜の過ごし方も千差万別。
その中で、損害賠償を求める裁判を起こすために知らない者同士が一致団結して
早々と資料を揃えるために夜も寝ないで書類作成のための作業をしていた
台湾の人達のバイタリティーには驚く。

前夜の説明では翌日お昼頃に出発できるだろうとのことだったが、
朝の説明では、10時に迎えのバスで空港へ行って出発は夕方5時とのこと。
ミネアポリスから代わりのジャンボ機が飛んで来ているそうだが、
そんなに長時間を空港でどうやって過ごすんだとみんなブツブツ。
さらに、関空から台湾への連絡飛行機がないということで台湾の人達が強烈に抗議。
抗議が効いたのか、結局その後の説明では、10時にホテルへ迎えのバスが来て、
午前と午後にアンカレッジの観光ツアーに連れて行ってくれるとのこと。
おわびのクーポン券かマイレージがもらえることも分かり、、
思わぬことでアンカレッジの観光もできて、
この頃から、どうもこれは得をしたのではないかと思えてきた。
さらに、急遽呼び出されたという日本語と中国語の通訳の人もやってきて、
世話係として活躍してくれて次第に行き届くようになった。

アラスカでもアンカレッジの町の夏は雪は無い。
遠くに見える山はさすがに雪を抱いていたが、
町の周りの山も近くの山には雪は無い。
雪の無いアンカレッジの町はそこいらの町となんら変わりはない。
しかし、確かにアンカレッジの町を見て回った記録を残しておこう。

 

左は動物園。「アラスカ動物園」と書かれている。
右は「民族文化博物館」とでも訳したらよいか。
アラスカ原住民の衣装で民族舞踊の披露などもあった。
動物園は郊外にあって、アラスカらしい風景の中をバスで行った。
動物園といっても、日本のように街中に施設を作ってあるのではなく、
自然の山の中の森の中の大きな木立の中に囲いを作っているだけ。
だから動物達は自然の中で動き、周りを囲われているだけ。
いろいろな動物舎を移動するのも森の中を歩き森林浴もできるのが良い。


シロクマ

ユキヒョウ

飛行機の話題のついでに、おまけ。19人乗りの小型飛行機の写真。
オーランドからマイアミへの往復便はどちらもこの小型飛行機だった。
チェックインの時は私はいつも窓側の席を求める。
もらった切符の席番号を見て、これは窓側ではないのではないかと文句を言った。
係りの人は「この席は窓側です」「どの席も窓側です」と。
ん? どの席も窓側?
なるほど、通路を隔てて左右1席づつでは、どの席も窓側だ。
操縦室まで丸見えだ。





最後に、
アラスカの空気が感じられる アンカレッジのホテル裏庭からの風景もどうぞ。



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