黄山の水墨画の世界


黄山は、中国・安徽省にある景勝地である。
4年前(2009年)、張家界の光景に驚いたものだが(こちら と こちら)、
断崖絶壁が続く黄山の光景も、張家界に迫る迫力あるものであった。


黄山には3ヶ所にロープウェイがあるが、我々は「雲谷ロープウェイ」で上がった。
8人乗りで、延長2808m、高度差773m、所要時間8分、終点の海抜1667m。
ロープウェイを降りてから、アップダウンのある山道をひたすら歩くことになる。

このロープウェイからの眺めがいきなり迫力があり、写真をたくさん撮ったが、
汚れたガラス窓を通しての撮影は満足できるものではなかった。

夫の仕事関係のポルトガル人男性は、高所恐怖症らしく、
このロープウェイからの眺めに気分が悪くなったそうだ。
ロープウェイを下りた所で「皆が帰ってくるまで休んで待っている」、
とのことで皆は先に行ったが、その後気分が良くなり追いかけてきた。
昼食を摂っていた所でだったか追いついて、以後は行動を共にした。


「黄山」という山がある訳ではなく、南北約40km、東西約30kmの地域の中に、
合計約72の大小の峰が連なっている。 標高は高いものでも1800m前後だ。
黄山の山々は古生代にできたもので、氷河や風雨による岩石の浸食が繰り返され、
現在のような信じられない断崖絶壁の景観ができあがったのだそうだ。


海から流れ込む湿った空気が海抜1000m以上の峰々に漂い、
大量の霧や雲を発生させているというが、この日は天気が良くて、
最初は、断崖絶壁の山々に、雲も霧もかからなかった。
雨が降ると何も見えなくなり困るが、贅沢にも、
変わりやすい山の天気に期待をしてしまった。
↓↓
やはり、山の天気は変わり易く、雲が下から湧き上がってきた。
結局、それ以後2ヶ所で2度にわたり雲がかかった写真を撮れた。
仙境(仙人が住む世界)と言われている雰囲気を少しは伝えられたか。


岩と岩の隙間や岩の割れ目に根を張り、強い生命力を持つ松が荒涼とした風景を彩り、
多数の文人が訪れ、水墨画や漢詩などの題材になったという話にも頷ける。


英語で案内して下さったガイドさんが「ぼんざい。ぼんざい」と言われるので、
「ぼんさい(盆栽)」だと正しい日本語に直してあげた、岩に生える松の木。


大勢の人が「絶景かな、絶景かな!」と群がっているが…。
下を見ると目が眩むような断崖絶壁の上に立っている訳で…。


下を見なければ単なる展望台で、誰も不安を感じていないようだが、
遠くから見れば、何とも危なっかしい場所に大勢の人が立っている。


遊歩道というのは、このように断崖絶壁に張り付くように作られている。
道は上のどこからも吊っていないし、下のどこからも支えていない。
中国国内の観光客が増えて、半端でない数の観光客が押しかけ、
年数が経ちその重さで劣化して、地震でも起こればどうなるか…?


自分がその上を歩いている限り、不安感もないし、危険性は感じないが、
こうして改めて写真で見ると、どーんっと落ちそうな気がする。


結構きつい歩きだったのは、石段が多かったからだ。
それにしても、あれだけの石段に使われている多量の石を
運び上げた人力作戦による工事の大変さは想像を絶する。

人力作戦といえば、山の上に立派な豪華なホテルがあり、
ホテルで必要な物資を何人もの男性が天秤で担いで登っていた。
何と!何人もの宿泊客の荷物まで大量に運んでいるのを見た。

黄山ではあちこちにゴミ箱が設置され、人力で回収しているようだ。
日本では、山からはゴミを持ち帰るのが常識だと認識されているが。


西海大渓谷(西海のグランドキャニオン)。
視界が開けたと思ったら、そこには大渓谷が広がっていた。


(左) 切り立った岩の裂け目にも何と階段が作られていて、
人々が歩いている(赤いリュックが見える)。
(右) 別の場所の岩の裂け目。差し込む陽の光が眩しい。
先を歩く人が振り返り、カメラを向けている。


有名な「飛来石」に行くコースは歩かなかったので、
遠くからズームで撮った写真で我慢しよう。
「飛来石」の周りに人の姿が見える。

そそり立つ崖の上に12mもの長い石が突き刺さっている?
山頂から転がってきて崖の上で止まったのだろうか?


あれぇー、あんな崖の上にサルが!(^^;)


宏村と花山迷窟へ続く



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