父島上陸 小笠原固有種の自然聖域散策


小笠原諸島は大陸と一度も陸続きになったことがないため、
植物、昆虫、貝類で多くの固有種が見られるという。

「小笠原固有種の自然聖域散策」というオプショナルツアーに申し込んだが、
希望者が多数で、現地のガイドや車の数が少ないために難しいと言われ、
苦肉の策で、1日1回の予定を2回車を出してもらい、希望者全員の希望が叶った。
が、3時間の予定を2時間に減らされて、1時間分どこを見られなかったのやら…。

2回に分けられたツアーの後半グループに入ったので、
前半のグループが周遊している間は個人で自由に歩いた。
先ず、三日月山展望台を目指して歩いてみた。


小笠原固有種の代表的なのがこのタコノキ。
タコの足のように気根を広げることから付いた名前。


タコノキの葉は繊維がとても強いそうで、その葉を加工して作る「タコの葉細工」が
古くから島に伝わっていて、タコノキの葉を編んで美しい民芸品に生まれ変わっていた。


そこで、これがお土産に買ってきたバッグ。


タコノキの実。青い実と熟れた赤い実の両方を見ることができた。


上から眺めた父島の山と海と町。海の色がいろいろな青色に見えた。


小笠原滞在中、夜には帰るしばしの我が家であるふじ丸。
近くの建物に比べても遠くのふじ丸の方がどんなに大きいか。


三日月山展望台からの景色。
上の写真には、西島、瓢箪島、弟島などが写っている。
下の写真には、烏帽子岩、遠くには南島などが写っている。


南島の周りではクジラが泳いでいるのが見えるそうで、
望遠鏡で探しながら三脚でカメラを構えている人に聞くと、
ずっとここで長時間待っているとのこと。ご苦労さま。

「南島ボート遊覧」ツアーに参加した人達はクジラが見えたそうだ。
我々は昔、アラスカやニュージーランドでクジラを見たことがあるので、
今回はクジラを見るツアーには参加しなかった。

三日月山展望台から下ると、今度は宮之浜へ歩いて行った。


その途中で見た、これは異様な光景だ。
後で地元のガイドさんに聞いて分ったことだが、
これは松に似た外来植物のモクマオウで、
細くて長い葉が落葉となって山肌を覆っている。
小笠原本来の植生に影響を及ぼしている植物だそうだ。


兄島瀬戸に面した美しい海岸、宮之浜。
海中にはサンゴ礁が発達し、熱帯魚も多いそうだ。


午後からはツアーで、ガイドさんが運転手も兼ねて周って下さった。
コペペ海岸の海もまた違った美しい青色をしていた。

ここで、落ち葉を踏み歩いて行くと、いきなりたくさんの何かが動き回っていた。


我々が歩いて行ったものだから、あちらも驚いて逃げようとして、
死んだふりをして?すっかり足を引っ込めてしまったが、
天然記念物のオカヤドカリ。名前の通り、陸で生活する。
また、他のヤドカリよりも脚や鋏脚が太くて頑丈だ。
それでも、何とか顔まで撮ってやったゾ。(^^;)


この浜辺にはその季節にはアオウミガメが産卵にやってくるそうだ。
小さくなってしまっているが、アオウミガメが掘った名残りのくぼみと、
模様になっているのは、オカヤドカリが歩き回ったその足跡である。


他で見たのはびっくりするほど大きな葉だったが右はまだ成長途中のモモタマナ。
隣り合って生えていた左の(はっきり見えないが)少し小さな葉の木はタマナ。

小笠原の山で紅葉している木があったらそれはモモタマナの木だそうだ。
ガイドさんによるツアーの前に個人で自由に歩いた時に大きな赤い葉っぱを拾った。
きれいだったので地元の人に名前を聞いて「モモタマナ」という名前を知っていた。


不思議だったのは隣り合って生えていたこの2本のモモタマナの木。
同じ場所で同じ気象条件で生えているのに、この成長の違いは何なのか?
ガイドさんに聞きましたよ。 答えは「個性」なのだそうだ。
我々が住んでいる地方では、春・夏・秋・冬と季節感がある。
が、小笠原諸島は亜熱帯に位置し、温暖多湿な海洋性の気候で、
夏と冬の気温差が少なく、葉を繁らせる時期も個々の木の気分によるのか。


左は、タコノキと同じく小笠原の代表的な固有種であるシダのマルハチ。
幹には枯れた葉の柄が脱落し、その痕が丸の中に八の字の模様に見える。

右は、小笠原でも父島の固有種であるメヘゴ。高さは1〜3mと低い。


左は、マルハチと似ているがこれはヘゴ。1本に付く葉の数が多い。
右は、ヤシの木の一種の小笠原固有種のオガサワラビロウ。

実のところ、小笠原固有種の植物はこの他にもいろいろ見たが、
たとえば、トキワイヌビワにしてもどうということはない地味な木である。
そこで、これ位にしてそろそろ終わらなければ、いつまでも終わらない。


小笠原国立公園の中央山山頂(標高319m)まで歩いて登った。
見下ろした海側の風景とは反対に、山の風景は、
父島の植生は乾性低木林であることを示している。

ムニンヒメツバキ(固有種) ホナガソウ ランタナ
ムニンネズミモチ(固有種) タチテンノウメ(固有種) ハカラメ
ゲットウ オガサワラクチナシ(固有種) ???
ムニンシラガゴケ(固有種) チトセラン ノヤシ(固有種)



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