麦草峠・雨池・坪庭


昨日は山小屋へ荷物を置いて身軽に歩けたから楽だったが、
2日目のこの日は奥蓼科の渋の湯温泉まで行くので、
3泊4日分の荷物を背負っての散策となった。


標高2127mの麦草峠から歩いてすぐにある茶水ノ池は標高2152m。
ミヤマバイケイソウがあちこちで咲いていた。


森の中の散策は荷物を背負っていても何とも気持ちの良いものである。


ここでも苔むした木の間からあちこちで若い木が育っていた。


鹿に食べられたのだろうか、この辺りではこんな風に皮がはがれた木が見られた。


苔が生え雨で濡れた石を歩く場面で、同行した夫の友人が私に声を掛けて下さった。
「奥さん、雨で濡れていて滑るから、気を付けて下さいよ!」
「彼女は大丈夫、こういう所、得意なんだよ。」と私の代わりに夫が答えた。
私は…、夫がこう言ったのと同時に滑って転んでいた…、のだ。
実は、別の友人夫妻と大台ケ原を歩いた時に、同じような場面でご主人が水の中に落ちて、
ズボンをびしょ濡れにされた事があった時に、もう少し小さな石だったのだが、私は、
水に浮んでいる石の上をぴょんぴょんぴょんとリズミカルに渡って、みんなの絶賛を浴びた。
そこで、この時もカッコ良いところを見せようとぴょんと踏み出したところで滑ってしまった。
思うに、背中に背負っているリュックサックの重さでバランスを崩したのだ(言い訳)。
幸い、軽い擦り傷だけで大事には至らなかったが、何事も慢心は慎まなくてはならない。


雨池に着いた頃には雨になっていた。
雨池という名前なんだから、タイトルは「雨の雨池」だ!


雨で煙る中で、緑の中に混じっている赤はナナカマドの赤葉だろうか?

この後は、少し登りがあってからは平坦な道をしばらく歩いた。
その後が今回の山歩きで一番の難所である場所だということで、
岩場を登るには両手を空けておかなくてはならないので傘をしまい、
上下セパレートの雨合羽を着て、リュックにもザックカバーを着けた。
岩が雨で濡れているので滑らないように気を付けなくてはならず、
行き交う人もなく、転んで怪我をしたら我々3人だけではお手上げで、
花や景色など撮りたい写真もあったが、カメラを出す余裕はなかった。

ということで、撮影記録で見るとこの間約1時間の写真はない。


緩い登りの平坦な道へ出た時には雨も小降りに。
青い屋根の小屋も緑の森の中でよく似合っている。


ミヤマバイケイソウを見ながら歩くこのような平坦な道の何と快適なことか。
雨で濡れているかなり急な登りの岩場を歩いた後であるだけに余計に快適だった。


振り返って見れば、縞枯山の山頂の辺りが見えた。
縞枯れは、亜高山帯針葉樹林のシラビソやコメツガが帯状に枯れて、
その縞枯れの帯が、山の斜面に何列もの白い縞になって見える。
縞枯現象は風、雨、日射などの自然現象によるものだそうだ。

さて、標高2240mのピラタス蓼科ロープウェイ山頂駅まで着いて、
雨はすっかり止んでいたので、雨合羽を脱いでさっぱりして、
高原の空気を吸いながら宿で作ってもらったおむすび弁当を食べた。

登山しなくても、車でやってきて、ロープウェイで上がれば、
街歩きの服装でも手軽に高原の空気を吸うことができるので、
ここまで来るとたくさんの人が上がって来ていた。


ピラタス蓼科ロープウェイ山頂駅からは坪庭と言われている1周30分程の散策路がある。
坪庭といっても日本庭園などで言う坪庭ではなく、自然が造り出した形状そのものを言う。
坪庭は八ヶ岳最後の噴火で出来た溶岩台地で、溶岩の岩石がむきだしの土地に植物が育っている。


高山帯に生えるハイマツが地面を這うように枝を伸ばしている。

坪庭にはたくさんの高山植物が自生していた。
その一部で名前の分った花だけでも載せておこう。
(名前が違っていましたらお知らせ下さい。)

コマクサ ゴゼンタチバナ ベニバナイチヤクソウ
ミヤマウスユキソウ テガタチドリ ハクサンシャクナゲ
チョウジコメツツジ ハナチダケサシ コケモモの実
ハナニガナ イブキジャコウソウ ミヤマウラジロイチゴ



最後は、
これは葉の表だが、葉の裏にも茎にもトゲがいっぱいで、
触ったらいかにも痛そうで、トゲブキと言うようだ。
調べてみると、正確にはハリブキと言うそうだが、
トゲブキの方がそのものずばりの名前で良い!


渋の湯温泉・清里高原へ続く

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