推定樹齢7200年とも6300年とも言われている縄文杉! 標高1280mに位置する。 原生林の奥深くで、黙々と生きる縄文杉との出会いは感動的だったが、 昨日の夕方に縄文杉へ到達した時にはとにかく疲れ切っていて、 やっと着いたぁーと、ぼっーとしていたのが正直な感想だ。 今朝もう一度改めてつくづくと静かな雨の原生林の中でその表情を眺めて、 森の主である縄文杉の威厳に満ちた姿には思わず手を合わせたくなる気分だった。 しかし、写真ではこの目で見たその強烈な印象を伝えられない。 少しアップにしてみると、刻まれた年月を想像できるだろうか。 本当はこの手で触ってみたかったのだが、現在では柵が設置されていて、 触れるような近くへは近づけないようになっているのが残念だった。 木の幹に触ることができれば、耳を当てて「生年月日は?」と聞いてみたい。 テントで寝ていた夜にピーピーと何やら動物の鳴き声を聞いた。 どうも動物らしいとは思ってもはっきりとは分からなかった。 テントを張った休憩所から下り始めてすぐにシカの赤ちゃんが居た。 ガイドさんの話では、これは生まれたばかりで、昨日生まれた位だ、 ということで、滅多にカメラを出さないガイドさんも写真を撮っていた。 ということは夕べの鳴き声はこの子鹿だったのかと愛おしい。 今日の下りのルートは日帰りコースの人達が通るルートなので、 登って来る大勢の人とすれ違うことになった。 ウィルソン株まで下りて休憩していた時、ガイドさん仲間での連絡で、 60人位が登ってきているとの情報に、それまでここで待ちましょうと言われた。 屋久島では上りが優先で、大勢が登ってきてすれ違うには下りは長時間待つことになる。 でも、「体が冷え始めたら言って下さい。すぐ出発しますから」とも言われた。 歩き始めると汗をかくのが長時間休憩すると体が冷えて風邪をひくといけないとの配慮だが、 しばらく待ったが、登りの人が途切れないので出発することにした。 ガイドさんが言うには、大人数のグループも数人ずつの小グループに分けて登ってほしい、と。 大人数でだらだらだらと上がってこられると迷惑だと言っていた。その通りだ。 数人を引き連れている他のガイドさんはその辺を分かっているので、 こちらがずっと待っていることを悟ると、道を譲ってくれて先に行かせてくれた。 こちらは4人なので固まって通り過ぎるとすぐに終わる。 連休の5月1日は1000人、2日と3日は600人から700人、4日は1000人が入山したとか。 それは、荒川登山口から登山届けした人数で、我々のような白谷雲水峡からの人や、 宮之浦岳からの縦走コースの人達の人数は入っていないので実際はもっと多かったとか。 そんな時は行列して登るのも大変だしすれ違うのも大変だし何よりトイレも大変だ。 連休を避けたのは正解だった。 木の根は斜めに踏まない、木の階段の端は歩かない、など注意深く歩いていたのに、 一度だけ下りで滑って転んでしまった。幸いにも怪我はなく無事で良かった。 下りる先に人が座り込んでいるのが見えてそちらにチラッと目が行った瞬間に転んだ。 事故が起こるのはその一瞬の油断だとガイドさんに言われた。 他人のことはいいから自分のことだけを考えて、とも言われた。 2人の女性が座り込んでいて、我々のガイドさんが厳しいことを言った。 「ここで歩けないようではまだきつい上りがあるので動けなくなりますよ。 引き返すかどうかご自分で判断して下さい」と。 病人や怪我人や動けない人が出るとガイドが背負って下りなければならず、 ガイドはそのための道具や医療器具など含めた大変な荷物を背負っていて、 その場合はガイド仲間で協力し合うのだそうだ。 もっと下では1人の女性が休憩していて聞くと仲間を待っているのだとか。 「仲間は上へ登ったけど自分は諦めてここで待つことにした」と。 歩けないと思ったら引き返す勇気も必要だと思った。 昨日と同じように今日もお昼頃からは雨も上がり日が射してきた。 が、変わりやすい山の天気は昨日と同じだ。 歩いている足元の石に長方形の石が埋め込まれたのが目立った。 ガイドさんは何でもよく知っていて、これは正長石というそうだ。 この他にも、階段の木の中に葉の化石のようなのが見えた。 それは、丸太を半分に切って階段に使っているので、 丸太の中に入っている木の枝の断面がそのように見えるのだとか。 写真を撮ったつもりが残念ながら撮れていなかった。 というのが、この後カメラが曇ってしまって使えなくなった。 雨の中で撮っていたためにレンズが雨に濡れて曇ってしまったらしい。 急遽、以後は予備の古いデジカメで撮ったが使い方を忘れていて散々だった。
その上、植物の写真は、雨の中で撮るのは大変で、思うように撮れなかった。 いろんな撮り方でいろんな角度から撮って良いのを選ぶということはできない。 1枚しか撮っていないのでうまく撮れていないが、記録のために載せておいた。 最後の写真、アブラギリとナナカマドの花はあちこちでたくさん咲いていて、 アブラギリを載せようと思ったのに撮れていなかった。 このような景色は、実は川に架かった橋の上で撮った。 下の写真のような手すりのない橋が1つだけでなく、 何ヶ所かあるので、高所恐怖症の人は緊張が続いて大変なようだ。 この写真は、「こどもといっしょにどこいこう!」様から許可を得て拝借しました。 橋の写真を撮ってなかったのでお借りしたのだが、手すりのない橋の上からも写真は撮った。 なかなかスリル満点だった。 注意深く足を踏ん張って写真を撮ったことを知っているガイドさんは何も言わなかったが、 後ろから来たグループの男性が橋の上で写真を撮る私を見ていたようで、 通り過ぎる時に「橋から落ちた人が実際に居るんですよ!」と注意をされた。 そうだ、風が吹くと危ないんですね、とガイドさんに言って、反省した。 土砂崩れのために迂回路を通ったが、その迂回路でもたくさんの杉の大木を見た。 通常は通らない道なので名前も付いていないが、立派な大木がそびえ立っていた。 トロッコ道にトロッコが置かれていた。 このトロッコ道は今でも使われていて、昔はもちろん木材を運んだのだが、 今ではトイレの収容物をトロッコで下まで運んでいるそうだ。 が、我々が歩いた時は土砂崩れのためにトロッコは通っていなかった。 トイレの収容物は人力で運んでいるとか。大変だ。そのご苦労に頭が下がる。 荒川登山口へは夕方の4時頃に着いた。 荒川登山口へは車両乗り入れ規制が行われていて、 屋久杉自然館までの区間は登山バスに乗らなければならない。 バスで約40分位かかる。 屋久杉自然館の駐車場ではガイドさんの仲間の車が迎えに来て下さっていた。 宿泊するシーサイドホテルまでは更に車で約1時間。 最初の予定では山小屋で2泊する予定だったので、 悪天候のためにルートを変更した段階で ホテルと交渉してこの日のホテルの部屋を確保しておいた。 そこで、この晩はホテルでゆっくりと眠ることができた。 なお、屋久島の山ではあちこちでおいしい水が湧いていて、 ペットボトルを1つ持っていれば適当な場所で水を入れられるので、 飲み水の心配は要らない。 食事を作るのに必要な水も十分に調達できる。 明日は、高層湿原の花之江河へ日帰りで行きます。 |