アラスカ豪華客船の旅―安い部屋での豪華客船の旅―
氷河。
ときどき氷河の一部が崩れて落ちてくる。
船がボーと汽笛を鳴らすと、その振動で落ちてくることもある。
音をたてて氷河が崩れたときは、思わずみんな感嘆の叫び声をあげた。
写真ではその大きさが正しく伝わらないが(手前の小船と比較)、34000トンの大きさで、乗客用のスペース(船室その他)が9階建てというものであった。
プールが3ヶ所、テニスやバレーやバスケットが出来るコートもあり、
卓球も出来たし、フィットネスやサウナの部屋もあり、
また、図書室もあったが、残念ながら日本語の本はなかった。
この船で、カナダのバンクーバーからアラスカまで往復7泊8日の
クルージングを楽しむ。ジュノーなどの町へも寄って、
オプションのツアーにも参加する。
乗船するところで先ず記念撮影。
知り合って話をした人の中に、メキシコから来ていたお金持ちの夫婦が居た。
大きな家に住んでいると言うので、「大きな家だと掃除が大変でしょう?」と
言うと、「メイズが居る」と言う。
「ハテ? メイズとは何か?」と考えて、…わかったゾ、
英語でメイドの複数形だったのだ!!
何人ものメイドを使っているから、奥様は掃除などしなくてよいのだ!
私は何というおろかな質問をしたことだろう…。
乗船したら、先ずライフジャケットを着けて、緊急時の避難訓練をする。
タイタニック号の悲劇を思い出しながら、部屋番号で決められている
自分の乗るボートの場所の確認をしっかりする。
タイタニック号の教訓からか、安い部屋の我々にもちゃんとボートが
用意されていてよかったなぁ。
実際には、大きな船ということもあり、何をする時もこれが船の上だとは
忘れてしまっている程に、ほとんど揺れもなく穏やかな航海だった。
ディナーは、テーブルが決められていて、このメンバーがずっと一緒だった。
夕食のときにいつも顔を合わせるので親しくなれて良かった。
食事は3食とも食べ放題なので、メインディッシュやデザートを
2種類注文していた豪傑も居た。
同じテーブルになったこの人達は、カナダからの女性3人組と
アメリカからの結婚25周年だという夫婦と我々夫婦の7人。
本当はもう一組フランスからの新婚の夫婦が居たのだけど、最初と
最後の晩に出てきただけで、後はどうも自室で食事をとっていた様子。
「新婚さんはいつも二人だけで居たいのよ。」と我々はささやきあった。
甲板で寝椅子に座ってリラックス。
甲板上を毎日歩き回ったり、ジョギングをしたりしている人達も居た。
最初、一週間も船の上ではさぞや退屈するのではないかと思われたが、
毎日朝から夜まで何やらいっぱいイベントがあって、あれもこれも出席したいと
思っていると忙しいくらいで退屈している暇はなかった。
映画館でやっていた映画は、その後日本でも封切りされた新しいフィルムだった。
夜は、交響楽団の演奏会やピアノ演奏会やミュージカルなどもあった。
カナダの有名なコメディアンの舞台があったときは、大勢の人が
喜んでゲラゲラゲラゲラ笑っているのに、私一人英語が解からなくて
笑えなくて悔しかった。
今夜はドレスアップして食事へ。
ディナーは、日によって、今日はフォーマル、今日はセミフォーマル、
今日はカジュアルと服装が決められていて、女性は服装に合わせて
アクセサリー類も変えて来る。
夕食の後、着飾った人達がその服装のままでカジノへ。
一日中カジノで過ごしていた人も居たとか。
カジノは船が動いている時だけ開かれていて、船が港へ着くと閉じられる。
我々も何種類かカジノを経験した。
我々を全くの素人と知って、他に人が居ないとき、結局は負けたけど
少しだけ勝たせてくれて長い時間遊べるようにしてくれた親切なディーラーが居た。
大きな船なので、端から端まで、下から上まで探検するだけでも時間をつぶせる。
方向音痴の私は何度も迷子になった。
アラスカが近づくにつれて、風が吹くと甲板上は寒いけど、
景色を見るためたくさんの人が外へ出ていた。お天気が良いと暖かい。
アラスカが近づくと、さすがにプールで遊ぶ人は少なくなった。
セスナに乗って氷河の上を飛ぶ。
これは氷河の遠景。真上から初めて見る氷河の割れ目の何とも不思議な光景。
氷河色というか淡い水色の氷河の色と、長年のチリに汚れた茶色の氷河の
表面の様子は地球のものとも思えない。
セスナのパイロットが、右側に座っている人にも左側の人にもよく見えるようにと、翼を交代に下げては、もうそこの氷河の割れ目に手が届きそうに低く飛んでは
サービスをしてくれるので、迫力満点であった。
写真がよく撮れていないが、クジラ。
小さい船に乗ってクジラをたくさん見られるという地点へ行く。
何頭かのクジラを見ることができた。
潮を吹いたり、背中を見せたり、尾っぽをひるがえして潜っていったりする姿は
なかなかうまく写真に撮れない。何故なら、その度に興奮して叫び声をあげているので
「カメラ、カメラ」と思った時はもうその姿はない。
イルカやアザラシやオットセイなどの姿も見たが、
ちょっと遠いと小さすぎたりして写真にはうまく撮れなかった。
写真がよく撮れていないが、野生のラッコ。
小さい船に乗ってラッコがたくさん群れているという地点へ向かう。
海面にたくさんのケプラが見えてきたなあと思っていると、居る居る、
鳥羽の水族館で見たあのラッコが同じ姿で居た居た。
水族館のラッコよりももっと動きが激しくて、さかんに潜ったり
浮き上がってきたりしていた。あの愛敬のある姿で水の上に
平和そうに寝そべって浮かんでいるラッコも居た。
船には、自然環境保護指導員(?名前は不確か)という人が乗っており、
船から見える木や森や魚や鳥や動物たちの説明をしてくれる。
船は、カナダからアラスカへ大陸の西海岸近くを北上して、少し航路を変えるが
アラスカからカナダへ同じく海岸近くを南下するので、陸にいるクマやシカなどの
動物も見えた。
木のてっぺんにとまっている頭の白い「白頭ワシ」もたくさん見た。
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